Li-ion電池の空輸規制強化か〜機内での発火を懸念
- 2014年10月15日
- 米国ビジネス
リチウムイオン(Li-ion)電池の航空輸送に関して、安全規制の強化が検討されている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、国連の国際民間航空機関(ICAO)の諮問委員会は9月、大量のバッテリーを運ぶ場合の発火事故を防ぐため、バッテリー・パックの間にゲル状の冷却剤などを挿入するよう勧告した。各国の航空安全専門家でつくる諮問委の勧告をICAOが受け入れた場合、バッテリー空輸の際の梱包コストや総重量が増えることになる。
ICAO諮問委の勧告は、米国で行われた最新の安全調査結果などを受けた動きで、航空機下部の貨物室でリチウムイオン電池が発火した場合、周囲の電池にも飛び火し、これまで考えられていた以上に危険な状況が発生する可能性があると国際的に認識されたことを意味する。
諮問委はまた、電池の発火や爆発の可能性を下げるため、空輸を予定しているリチウムイオン電池は出荷時の充電レベルを30%以下にすることも勧告した。ICAOの意思決定機関は今月中にこれらの勧告について検討する予定だが、最終決定や実施は数年先になる可能性もある。乗客が個人的に機内に持ち込む電池は対象外。
これに対しバッテリーメーカーや業界団体は「安全対策は、従来の梱包やラベル表示に関する規則とICAOが義務づけている工場での品質管理で十分」と反対しており、出荷時の充電レベルに関しては「完全充電していないと電池の耐用期間を縮める可能性があり、新品を使う前に充電する時間がない医療用や軍用機器向けには不適切」と反論している。
リチウムイオン電池による発火が原因と考えられる貨物機の墜落事故は過去8年間に2件発生している。2010年にドバイでUPSのボーイング747が墜落しパイロット2人が死亡した事故では、リチウムイオン電池などが積まれていた部分から出火し、最初の警報から3分もたたないうちに操縦機器が深刻な損傷を受け、コックピットは大量の煙に包まれたと見られている。
ICAOは14年6月、最も発火しやすいといわれる非充電式のリチウム金属電池の旅客機輸送を禁じると発表、規則は15年1月から実施される。
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