GE、資源使用効率化の戦略に注力 〜 産業インターネットで最適化を実証

 ゼネラル・エレクトリック(GE)は、資源の生産性向上と有効活用を達成する手段として、インターネット・ソフトウェアとハードウェアを統合するデジタル・リソース・プロダクティビティー(digital resource productivity)戦略を打ち出している。

 GEは2012年以来、産業インターネット(industrial internet)のソリューションを40製品以上投入してきた。たとえば、航空便効率化サービス(Flight Efficiency Services)と呼ばれる航空ナビゲーション・サービスでは、運航データを分析して燃料効率の良い航路を選ぶ支援をしている。ブラジルのゴル航空では、同サービスを利用して5年間で1億ドルの経費節減を実現した。

 また、パワーアップ(PowerUp)製品では、風力発電所に数万というデータ・ポイントを作り、毎秒のデータを分析して出力最適化に役立てている。ドイツの電力会社エーオンは、同ソリューションを469基の風力タービンに導入したことで発電量を4.1%高めた。その増加分は、19基のタービンを追加した場合の発電量に相当する。

 さらに、GEの鉄道制御システム「ムーブメント・プランナー(Movement Planner)」を導入したノーフォーク・サザン鉄道は、燃料使用量を6.3%削減し、速度を10〜20%高めた。その高速化によって運航数も減らすことができた。

 GEは最近、産業インターネット向けのソフトウェア・プラットフォーム「プリディックス(Predix)」を2015年中に発売する計画を発表した。同プラットフォームをオープン化し、利用企業が独自のアプリケーションを動作させて資産管理に役立てられるようにする。

 そういった一連の戦略は、GEが2005年に始めた「エコマジネーションン」構想の一環と位置付けられる。同分野の製品はこれまでに1800億ドルの売上高を計上した。それに関する研究開発投資は150億ドルに上る。

 GEがこのほど発表した報告書によると、ハードウェア効率とエネルギー生産性は過去10年にわたって年間1%の割合で向上してきた。その率でいくと、世界の産業エネルギー消費量は、2013年の270クァドリリオン(1000兆)BTUから2030年には416クァドリリオンBTUに達する可能性がある。

 しかし、エネルギー生産性が年間2%向上すれば、2030年までの産業エネルギー消費量は346クァドリリオンBTUに抑えられる、とGEは見積もっている。70クァドリリオンBTUの削減は、世界の年間石油消費の3分の1以上に相当する。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. ニューヨーク市内で「一軒家」を探すのは至難の業です。というのも、広い敷地に建てられた一軒家...
  2. 鎌倉の日本家屋 娘家族が今、7週間日本を旅行している。昨年はイタリアに2カ月旅した。毎年異...
  3. 「石炭紀のガラパゴス」として知られ、石炭紀後期のペンシルバニア紀の地層が世界でもっとも広範囲に広が...
  4. ジャパニーズウイスキー 人気はどこから始まった? ウイスキー好きならJapanese...
  5. 日本からアメリカへと事業を拡大したMorinaga Amerca,Inc.のCEOを務める河辺輝宏...
  6. 2024年10月4日

    大谷翔平選手の挑戦
    メジャーリーグ、野球ボール 8月23日、ロサンゼルスのドジャース球場は熱狂に包まれた。5万人...
  7. カナダのノバスコシア州に位置する「ジョギンズの化石崖群」には、約3 億5,000 万年前...
  8. 世界のゼロ・ウェイスト 私たち人類が一つしかないこの地球で安定して暮らし続けていくた...
ページ上部へ戻る