貿易解禁で利権争い加熱も〜キューバ産の葉巻やラム

 オバマ政権がキューバとの関係正常化に動き始め、対キューバ貿易が解禁される可能性が出てきた。実現すれば、禁制品だったキューバ産の葉巻やラムの販売権闘争が加熱する可能性がある。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、米国は世界最大の葉巻市場で、米国葉巻協会(CAA)の統計では年間売上高は67億ドル。キューバ産葉巻は世界でも最高級品と見なされ、その売り上げは年に4億ドル強。対米貿易が解禁されれば大幅に増える可能性が高い。

 現在、キューバ産の葉巻はすべて国営たばこ公社のエンプレサ・クバーナ・デル・タバコ(キューバタバコ)が製造し、米国以外の世界販売は英国のインペリアル・タバコ・グループが取り仕切っている。対米貿易が解禁されればキューバタバコは生産を拡大する予定で、成り行きを見守っている。

 しかし、米国内ではすでにゼネラル・シガー傘下のスカンジナビアン・タバコ・グループが、2013年にキューバタバコとの16年間にわたる商標訴訟に勝って有名ブランド「コイーバ(Cohiba)」の販売権を取得し、ドミニカ共和国製を販売している。インペリアルは「ロメオ・イ・フリエタ」といったドミニカ産の別ブランドで対抗しており、貿易が解禁されれば販売権を巡る争いが再燃する可能性がある。

 一方、ラムのブランド闘争は1950年代のキューバ革命当時までさかのぼる。キューバで設立された「バカルディ(Bacardi)」は、カストロ政権による国有化を受けて国外に撤退したが、97年には「ハバナ・クラブ」の設立者から同ブランドを買い取り、米国内の商標権も獲得して、2006年にプエルトリコ製のハバナ・クラブ販売を始めた。

 しかし、フランスの酒類大手ペルノ・リカールは、93年にキューバ政府との合弁事業を通じてハバナ・クラブの世界販売権を入手。120カ国でキューバ製を販売しながらバカルディを訴える構えを見せている。また、対米貿易が解禁されれば「ハバニスタ(Havanista)」の新しいキューバ産ラムのブランドで対抗する予定だ。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る