デュポン、物言う株主に反論〜委任状闘争が過熱

 化学大手デュポンは18日までに、プロキシーファイト(委任状争奪戦)を仕掛けている物言う株主(アクティビスト)ネルソン・ペルツ氏の業績批判に対し、「株主還元率は同業より高い」と反論した。

 ロイター通信によると、ペルツ氏が率いる投資会社トライアン・ファンド・マネジメントは、デュポンの2.68%を保有。氏のほか3人の候補を取締役に選出するよう株主に呼びかけ、これを「デュポンの業績に関する株主投票」と呼んでいる。

 先週金曜(13日)の取引終了時、デュポンの株価は過去12カ月で18%上昇となり、同業のダウ・ケミカルは7%、S&P500は14%の上昇にとどまっている。ダウ・ケミカルは2014年11月、4人の外部取締役を加えることに合意して、ダニエル・ローブ氏のヘッジ・ファンド運営会社サード・ポイントとの委任状争奪戦を回避した。

 これまでデュポンに業務の分割を要求してきたトライアンは先週、1つの会社として維持することについても「心を開いている」と表明した。一方、デュポンはトライアンと20回以上にわたる協議をして建設的な対応に努めているが、エレン・クルマン最高経営責任者(CEO)は「われわれが向き合っているにもかかわらず、彼らは分割するかトライアンを取締役会に入れなければ委任状争奪戦になると繰り返して最後通牒を突きつけている」と株主に説明している。

 デュポンは今月上旬、独自の取締役候補を指名してペルツ氏の要求をはねつけ、資材部門を、農業・栄養・健康・産業用バイオ科学部門から分けるという要求も拒否した。また、すでに実施した高機能化学品部門のスピンオフに関しては「トライアンが投資する前から準備に取りかかっていたが、トライアンはこの動きを自分の手柄にしようとしている」と批判している。デュポンの株主総会の日程は未定。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る