靴の中敷きにGPSを搭載し認知症患者の安全確保 〜 GTXコープの身体装着型

 GPS技術を手がける新興企業GTXコープ(GTX Corp、ロサンゼルス拠点)の開発した靴の中敷き(中底)が、新たな身体装着型技術として注目されている。

 フォーブス誌によると、GPS搭載の靴の中敷き「GPSスマートソールズ(GPS SmartSoles)」を開発したGTXは、投資業界記者のジョン・H・フォード氏によって「これまでの歴史上でもっとも過小評価されている会社」と紹介されたことで、脚光を一躍浴びるようになった。

 スマートソールズは、GTXがまったく広告を打たなかったにもかかわらず、初回製造分がすぐに予約完売状態になった。

 スマートソールズは、アルツハイマー病や認知障害を患っている高齢者や自閉症の児童を標的市場にして、そういった人たちの居場所を追跡する目的で開発された。利用者本人に邪魔な装着感を与えず、なおかつ簡単には取り外せないという点で、手首や足首に付ける装置より利点がある。

 GPSをオフにするスイッチはなく、位置情報をリアルタイムで確認できるため、本人の自由を確保しながら介護者に安心感をもたらすことができる。

 「当社が特に関心を寄せているのは、認知障害やアルツハイマー、自閉症、脳機能障害を患っている世界中の1億人の人々に安全をもたらすことだ」「その人数は2050年までに2億7700万人を超えると予想される」と、GTXのパトリック・ベルターニャ会長兼最高経営責任者(CEO)は話す。

 同社によると、スマートソールズの利用料金は月額30ドル前後だ。介護施設の入居料や徘徊者を探して費やす時間的コストに比べれば、きわめて安いコストと言える。

 スマートソールズの用途は将来的に拡大する可能性もある。「次に考えている市場は、外国に出張する企業人やジャーナリスト、NGOの職員だ」とベルターニャ氏は話す。

 同社はこれまでに米国とカナダ、スイス、オーストリア、ドイツの一部で販売を開始した。米国外の顧客からは再注文がすでに入り始めているという。

 スマートソールズは現在、米国内の大規模施設で試験運用されている。同社はまた、病院と協力して医療費としての承認を得ようとしている。

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