23アンドミー、集めた遺伝子情報を薬品開発に活用

 唾液を使った遺伝子診断キットを個人向けに販売し、これまでに85万人から遺伝子情報を収集している23アンドミー(23andMe、カリフォルニア州)はこのほど、情報を医薬品の開発に役立てる方針を明らかにした。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、同社は昨年までスイスの製薬大手ロシュ・ホールディングの研究・初期開発責任者だったリチャード・シェラー氏が4月から23アンドミーの最高科学責任者に就任し、新しい薬品開発部門を統括すると発表した。データベースに蓄積された変異などの遺伝子情報と顧客から提供された健康情報などを基に、さまざまな疾患の発症の仕組みや治療薬開発の可能性を探る。

 キット利用者の80%が、23アンドミーがデータを所有して研究のために使うことに合意しており、同社は人間の遺伝子としては世界最大規模のデータベースを持つ。すでにロシュのジェネンテック部門や製薬大手ファイザーなどを含む十数社は、特定の変異や疾患に対する薬品開発の手掛かりを探すために同社とデータベース使用契約を結び、シェラー氏自身もロシュでの最後の仕事が、パーキンソン病研究で23アンドミーのデータにアクセスできるという契約の締結だった。

 23アンドミーはこうした他社との取引を継続する一方、新しい部門については目的を限定せず、メタボリック(代謝異常)や免疫系障害、眼病、がんなどより広い範囲でデータベースの用途を模索し、最も可能性の高い目標に的を絞る予定。特に、今は健康で何の症状もないが遺伝子変異を持っている「エスケイパー」と呼ばれる人々のデータから貴重な情報が得られるのではないかと期待している。

 23アンドミーは当初、医療検査として遺伝子診断キットを販売したが、精度が疑問視され、政府の情報提出要請にも従わなかったため、連邦食品医薬品局(FDA)は医療診断用のキット販売の停止を命じ、現在は家系解明用のキット(99ドル)を販売している。

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