日立、米国の3大学と共同研究 〜 使用済み核燃料を使う原子炉の開発で
- 2015年6月1日
- 環境ビジネス
日立製作所は、放射性廃棄物の減衰にかかる期間を短縮し、燃料として使用することを目指した研究について、マサチューセッツ工科大学とミシガン大学、そしてカリフォルニア大学バークリー校と共同研究を開始した。
エンバイロメンタル・リーダー誌によると、同研究は、超ウラン元素(TRU)を燃料として使用し、ウラン資源の有効活用を実現する資源再利用型沸騰水型原子炉(RBWR)を開発することを目指す。
日立製作所は、同社および子会社の日立GEニュークリア・エナジーが開発を進めているRBWRについて、性能および安全性評価を行うとともに、各大学とそれぞれ実用化に向けた試験の実施計画を検討する。
原子力発電所で使用されたウラン燃料には人体に有害なTRUが含まれており、使用済み燃料の有害度が天然資源のウラン鉱石と同程度にまで減衰するには約10万年かかると言われる。
使用済み燃料からTRUを除去できれば、減衰にかかる期間を数百年にまで短縮できることから、TRUを核分裂させるための原子炉の研究開発が国内外で進められている。
その解決策の一つとして、日立は、すでに商用炉として実績のある沸騰水型原子炉(BWR)の技術をもとにRBWRの開発を進めている。
RBWRは、使用済み燃料から分離および精製したTRUを、ウランとともに燃料として利用できる可能性がある。RBWRは、TRUを核分裂させるために新たな炉心燃料を使用するが、安全システムやタービンといった炉心以外では現行のBWRと同じものを使うため、BWRで蓄積した経験を活かせるうえ、効率良くTRUを核分裂させられると期待される。
日立は2007年から2011年にも前述の3大学とRBWRに関する共同研究を行い、TRUを核分裂させる性能や安全性を評価した。今回の共同研究では、そこで得られた知見を活用しつつ、3大学で開発された精度のより高い解析手法を用いて、原子炉の性能や安全性を評価するとともに、実用化に向けた試験計画を検討する予定だ。
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