メキシコがUAW労使交渉に与える影響

 7月に全米自動車労組(UAW)とデトロイトの自動車メーカー3社との間で開始される労使協約改定交渉において、メキシコが影響を与える見通しだ。

 オートモーティブ・ニュースによると、UAWが雇用をできる限り国内工場にとどめる形での合意を模索する中で、3社は安価な人件費が魅力のメキシコを交渉カードに使って賃上げの動きを牽制する構えだ。

 UAWのデニス・ウィリアムズ委員長は、メキシコ生産への投資拡大が「組合の大きな懸念材料」と語った。

 交渉に臨む3社のうち、「シボレー・シルベラード」と「GMCシエラ」の両ピックアップなど3車種を両国で生産するGMにとって、メキシコが最も大きな位置を占めそうだ。GMは急増するピックアップ需要への対応を迫られているため、増産する工場の決定をめぐって交渉の場で議論が交わされるのは確実だ。

 このほか、メキシコのラモスアリスペ工場で生産されているサブコンパクト車「ソニック」も対立の火種になりそうだ。同車はミシガン州オリオンタウンシップ工場で、時給がベテラン組合員より9ドル安いティア2労働者によって組み立てられている。それでもCARによると、GMは競合製品「フィエスタ」を生産するフォードと比べ、国内でサブコンパクト車に投じる労働コストが1台当たり674ドル多い。一方で、メキシコの平均時給は5.25ドルと見積もられている。

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