過去3カ月の解雇数5万人〜エネルギー業界、原油再下落で

 米国内の原油価格が再び1バレル=50ドルを割り込み、過去4カ月で最低水準となっているため、エネルギー業界が大規模な人員削減や資産売却といった対応を強いられている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、原油価格は2014年末に大幅に低下した後、15年春からいったん回復し始め、上昇を受けて再びリグ(掘削装置)を増やす業者も現れた。しかしこうした急激な増産と、イランの経済制裁解除を受けた石油輸出拡大という新しい要因で原油価格は過去6週間に20%以上下落。24日には48.14ドル(WTIの中心限月9月物清算値)まで落ち込んだ。

 合併を予定している油田サービス大手ハリバートンとベイカー・ヒューズは、2月時点で計1万3500人の削減を予定していたが、先週2万7000人を削減したことを発表。削減率はハリバートンが当初予定の8%から16%に、ベイカー・ヒューズは約10%から21%に拡大した。ハリバートンのクリスチャン・ガルシア最高財務責任者(CFO)代理は「今後も業務の再評価を続け、市況に応じて必要な調整を行っていく」と話している。

 ヒューストンのエネルギー・コンサルティング会社グレイブスによると、昨秋からの原油価格低下を受け、国内エネルギー業界では10万人が解雇されたが、さらに過去3カ月で5万人近くが職を失っている。今年の解雇は、当初は掘削現場の作業員、フラッキング作業員、機材メーカーの労働者などブルーカラーが中心だったが、今ではエンジニアや科学者にも広がっている。

 石油・ガス探査大手ココノフィリップスは、今年だけですでに1500人近くを削減したが、関係者の話では秋に追加の削減を計画しており、数は数千人規模に上る可能性もある。探査会社は、1980年代半ばの市場下落で大量解雇を行い、その後20年にわたって人材不足に苦しんだ経験から、地質学者など高い技術を持つ人員の解雇には消極的なのが一般的だ。

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