LGケム、パナソニックから王座奪取も 〜 電気自動車向け電池市場で競争激化

 電気自動車(EV)向けの電池市場は現在、パナソニックの独壇場となっているが、今後はLGケム(LG Chem)が急追し、2020年までにパナソニックを追い越す可能性が高まってきた。

 調査会社ラックス・リサーチ(Lux Research)によると、EV向け電池市場は2020年までに300億ドル規模に拡大すると予想される。

 エンバイロメンタル・リーダー誌によると、パナソニックの市場占有率は現在39%と圧倒的だが、同社はテスラとの提携関係に依存しており、それがパナソニックの立場に脆弱性をもたらしている。

 パナソニックにとって最大の競合社であるLGケムは、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォルクスワーゲン、ダイムラー、フォードと契約をすでに結んでいる。ドイツ自動車メーカーのEV販売が拡大するのであれば、LGケムは、日産自動車を獲得するだけでパナソニックを上回ることができる。

 「電池市場のビッグ・スリーであるパナソニック、LGケム、サムスンSDIは、市場占有率をかけて全面戦争を繰り広げている」「また、各社の戦略は大きく異なる」と、ラックス・リサーチのコスミン・ラスラウ氏は指摘する。上席分析家の同氏は、今回の報告書「Watch the Throne: How LG Chem and Others Can Take Panasonic’s EV Battery Crown by 2020」の主任執筆者だ。

 同報告書には、特筆すべき市場動向として次の三つを挙げている。

1)EV市場はなおも黎明期にあり、テスラですら世界自動車販売市場の0.1%しか握っていない。ほかの自動車メーカーはEVの車種を急拡大しており、2014年に960万台を販売したフォルクスワーゲンは、2020年までに20車種でEVのオプションを投入する計画だ。

2)ルノーと日産の連合は、2020年に市場占有率が9%になると予想されるが、不確定要因の大きさのため、その予想はあてにならない。日産は、日本電気との合弁会社オートモーティブエナジーサプライから電池を調達しているが、コストと技術で課題を抱えている。ルノーに電池をすでに供給しているLGケムは、日産への電池供給という大きな契約を獲得できるかもしれない。

3)競争を優位に進めるうえで、次世代の技術がカギを握る。現行のリチウムイオン電池に次ぐ技術は、コストを下げ性能を高めるうえで重要だ。サムスン・ベンチャーズは、ソリッド・ステート電池を開発する新興のシーオ(Seeo)と、グラフェン・シリコン電極のメーカーのXGサイエンスに出資している。同様に、フォルクスワーゲンはクアンタムスケープ(Quantumscape)に、GMベンチャーズはサクティ3(Sakti3)、エンヴィア・システムズ(Envia Systems)、ソリッドエネルギー・システムズ(SolidEnergy Systems)に出資している。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 2025年12月1日

    就職&雇用ガイド2025
    監修 STS Career https://usfl.com/author/stscar...
  2. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  3. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  4. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  5. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  6.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  7. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
  8. 2025年2月8日

    旅先の美術館
    Norton Museum of Art / West Palm Beach フロリダはウエ...
ページ上部へ戻る