VWディーゼル排気システムのしくみ

 独フォルクスワーゲン(VW)が、違法ソフトウエアにより排ガス規制を不正に逃れていた問題で、ディーゼル・エンジンに搭載されている排気システムが関心を呼んでいる。

 オートモーティブ・ニュースによると、2009年から15型のディーゼル車に採用されているシステムは複雑な部品で構成され、どの全てが常時完璧に機能しなければ排ガス規制を満たすことはできない。

 例えば、排気マニホルドに搭載されているリーンNOxトラップ触媒(LNT)は、エンジンがリーン状態の燃焼時に窒素酸化物(NOx)を吸着し、一定量になればリッチ・モードに切り替わって窒素を排気システムに還元する。

 LNTに続く形で装着されるディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)は、エンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質を軽減する。

 排気マニホルド付近に設置される酸化触媒コンバーターは、有害な炭化水素(HC)と一酸化炭素(CO)を削減する排ガス浄化装置だ。

 選択触媒還元(SCR)は、排気中のNOxを浄化する技術で、尿素を含むタンクが搭載される。NOxにアンモニアを吹きかけると水と水素に変わる性質を応用し、尿素SCRシステムと呼ばれる。

 排気再循環(EGR)は、燃焼後の排ガスの一部を取り出して再度吸気させる技術で、NOxの低減に貢献する。

 エンジン・コントロール・モジュール(ECM)は、エンジンの点火や排気を制御するコンピュータで、VWはECMを2種類のモードにプログラミングした。問題となっている違法な「検査モード」が当局の試験中にNOxの排出を基準値以下に抑え、通常時には「無効モード」に切り替わるしくみだ。

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