ソーラー・パネルの発電効率が向上するにつれ、公的補助金制度の支援を受けなくてもほかのエネルギー源に対して十分な競争力を持つようになると予想される。
ソーラー・パネルの発電効率記録は、過去1週間に二度も塗り替えられた。最初は、ソーラーシティーが22%のモジュールを開発し、それまでの記録だったサンパワーの20%強を塗り替えた。
ソーラーシティーのモジュールは現在、カリフォルニア州の工場で生産されている。同工場は100メガワットの生産能力を持つ。同社は、1ギガワットの生産能力を持つニューヨーク州の大型工場に生産をまもなく移行する。
二度めはパナソニックだ。パナソニックは、ソーラーシティーの新記録樹立の発表からわずか数日後に、生産用モデルの試作品で22.5%の効率を達成したと発表し、ソーラーシティーによる最高記録を塗り替えた。ソーラーシティーの記録は3〜4日で破られた格好だ。
一方のサンパワーも、2017年には発電効率23%のモデルを、800メガワットの生産容量を持つ工場で生産開始すべく準備を進めている。
クリーンテクニカ誌によると、ギガワット級の工場で発電効率20%以上のソーラー・パネルが多数生産されるようになるという展望は、業界にとってきわめて重要だ。米国の税制控除制度が失効するまでに、助成金を受けなくても競争できるだけの力を持つようになる可能性を示唆するためだ。
屋根上に設置する家庭用ソーラー・パネルは、住宅が必要とする電力量ではなく、むしろ屋根の面積によって容量が決まってくることが多い。ソーラー・パネルの発電効率が上がるということは、限られた面積でより多くを発電できることを意味する。
また、パネルの価格が下がるにつれ、周辺機器や工事費用を含むBOS(バランス・オブ・システム)コストが全設置コストに占める割合は大きくなるが、同じ面積で発電量が増えれば、キロワット時あたりのBOSコストは下がる。
ソーラー・パネルの経済性を前進させるうえで、大量生産によるコスト低下は重要な要因となる。ソーラーシティーやパナソニック、サンパワーの動きによってそれがまもなく現実化するとみられる。20%以上の効率を誇るソーラー・パネルは、急速に新たな標準となりつつある。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
デラウェアとテキサス、企業の法的拠点誘致で火花
-
2025年3月20日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
電動大型トラック販売が窮地に~加州、規制の不明確化で
-
膵臓がんの早期発見、人工知能の活用で劇的に前進 〜 メイヨー・クリニックの教授ら、精度92%の人工知能モデル群を構築
-
ムーンペイ、法人向け暗号決済市場の開拓に注力 〜 ステイブルコインに照準、アイアン買収で機能拡充
-
毎日出社義務化が人材流出の原因に 〜 経営陣の思惑と従業員の希望がすれ違い
-
玩具業界も関税による深刻な影響を懸念
-
2025年3月13日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
サイバーセキュリティー保険の現状と注意点 〜 攻撃増加で重要性が拡大、2025年の見通しは?
-
2025年3月10日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 世界のニュース, 米国ビジネス
ダッソー・システムス、アップル・ヴィジョン・プロ用アプリケーション群を提供へ〜三次元VR/AR機能を製品設計や製造業に提供
-
2025年3月6日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
将来のAVはブランド色がより鮮明に
-
一時代を築いたスカイプ、5月に終焉 〜 マイクロソフト、チームスへの移行を奨励