日焼け止めがサンゴ礁を破壊〜ビーチ以外での使用も影響

 人々が使う日焼け止め剤(サンスクリーン)がサンゴ礁に悪影響を及ぼしているという調査結果を、米国の大学研究者らでつくる国際調査グループが発表した。

 ワシントン・ポストによると、人々が使って海水に混じることで、環境に極めて敏感に反応するサンゴを殺す結果になる。五輪用プール約6個分の海水に日焼け止めを1滴たらしただけの濃度でも、多くの商品に含まれる紫外線吸収剤オキシベンゾンが、サンゴの栄養吸収を妨げ、白化をもたらすという。

 サンスクリーンの影響は、海水浴やシュノーケリングなど海辺での使用にとどまらず、日常生活で外出時や屋外でスポーツをする時に使っても、シャワーで洗い流された成分が下水に混ざり、海に流れ込む。メリーランド州オーシャンシティやフロリダ州フォートローダデイルなどの都市では、ビーチから見えない場所に海に排水を流す施設がある。さらに、大雨などであふれた下水が河川に流れ出すこともある。

 報告書を共同でまとめたセントラル・フロリダ大学のジョン・フォース准教授(生物学)は、「最大の直接要因はたくさんの人が集まるビーチからの流出だが、下水の流れも重要だ。シャワーの水がどこに行くのか、人々はあまり考えていない」と話した。

 今回の調査場所は米領バージン諸島とハワイ州の2地域だけだったが、世界では毎年1万4000トンのサンスクリーン・ローションがサンゴ礁を取り巻く海水に流れ込み、その多くが1〜10%のオキシベンゾンを含んでおり、サンゴ礁の少なくとも10%は高いリスクにさらされていると考えられる。

 調査報告書は科学誌アーカイブス・オブ・エンバイロンメンタル・コンタミネーション・アンド・トクシコロジー(Archives of Environmental Contamination and Toxicology)誌に掲載された。

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