「サービスとしての車」に移行か 〜 GMとアウディの投資が示す業界動向

 先端技術を詰め込み高額の価格設定も可能な「サービスとしての車(Cars As A Service)」の提供へと、自動車メーカーの事業の焦点が移行していることを印象付ける業務提携が年初から相次いだ。

 フォーブス誌によると、ゼネラル・モーターズ(GM)は、モバイル配車サービス最大手のウーバー(Uber)に次ぐ米国第2位のリフト(Lyft)に5億ドルを投資することを明らかにし、アウディ(Audi)は、車レンタルの新興企業シルバーカー(Silvercar)との提携を結んだ。

 GMは提携の一環として、自動車の貸し出しや車載通信接続サービスをリフトに提供するほか、自動運転車の開発でも協力する。

 ブルームバーグによると、モバイル配車サービス市場が今後も拡大を続けると予想するGMでは、リフトに総額10億ドルを投資する計画を進めており、今回の5億ドルはその第一弾となる。

 GMは、リフトの取締役会に議席を確保し、将来的には、自動運転車によるモバイル配車サービスを世界規模で展開する戦略を共同で進めていく。

 リフトの企業評価額は、GMからの投資を獲得したことで55億ドルに上昇する。

 ウーバーも、GMと協力関係にあったカーネギー・メロン大学研究者を雇用し、自動運転車の開発を2015年初めから進めている。

 一方、アウディは、シルバーカーの資金調達ラウンドを主導し、同社に投資する。シルバーカーは空港での車レンタル手続きを簡便化するサービスを提供している。利用者はシルバーカーのウェブサイトまたはスマートフォン・アプリケーション経由でアウディ車を予約でき、空港に到着後、専用コードをスキャンして車のドアを開錠する。

 利用者は、シルバーカーのアプリケーションを使うことで、レンタカー会社の事務所に立ち寄って車を選び保険に入るといった従来の手続きを大幅に簡略化できる。また、支払いは、利用者がアプリケーションで登録したクレジット・カードを使って自動処理される。

 将来的には、アウディが自動運転技術をシルバーカーのサービスに応用することで、空港到着ロビーのすぐ外のようにシルバーカー利用者が希望する場所まで予約車を呼び寄せるといった付加価値サービスも実現する可能性がある。

 自動車メーカーが新興企業と提携する背景には、自動運転技術が普及すると少なくとも都市部では人による運転が禁止されたり、駐車場確保の困難さや、駐車料金の高さから、消費者による自動車所有が減るという危機感がある。

 車所有コストも上昇すると予想されることから、駐車や給油または充電を必要とせず手ごろ料金で利用できる「サービスとしての車」に人気が集まる可能性も自動車メーカーらは視野に入れている。

 車をサービスとして提供することで、自動車メーカーは従来のディーラー網経由の販売形態を廃止し、車サービスの料金を柔軟に設定するというあらたな事業形態を模索することも想定される。

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