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日本の食
自然志向最前線
- 2017年2月1日
- 2017年2月号掲載
化学調味料と保存料無添加
日本料理のベースとなる、だし
Dashi
日本で、10年ほど前から化学調味料・保存料無添加、国産原料の旨味とコクで人気を博している「だし」がある。この「茅乃舎だし」は、福岡市郊外にある自然食レストラン「茅乃舎」の料理長が家庭でも本格的な味を再現できるように開発したもの。経営母体は、創業124年を迎える福岡の久原本家であり、同社は日本国内では北は北海道から南は福岡まで、だしを中心にさまざまな商品を扱う20の直営店舗を構える。複数のブランドを展開する久原本家だが、米国市場には前出の茅乃舎ブランドの商品に絞って参入している。同社の菊池惟親さんはレストラン出店で進出したベトナムに次ぐ海外市場として、米国を選んだ理由を次のように語る。
「日本国内で弊社の商品が認知された次の段階として、もっと日本の食文化を世界に伝えたいと思いました。シンガポール、パリ、ロンドンと進出先の候補がある中で、ここから発信することで、世界的な広がりが期待できるのではないかという思いから、拠点をアメリカに決めました」
2016年春にはニューヨークで開催されたジャパンウィークに出展、多くのアメリカ人消費者にだしを試食してもらい、「美味しい」との手応えを得た。しかし、寿司やラーメンといった「わかりやすい」日本食とは異なり、縁の下の力持ち的な存在のだしは一般的には「わかりにくい」。菊池さんも「おだしは家で日本食を作る時に使う調味料です。アメリカでは、多くの方が自宅で料理を作る機会が少ないという点も商品が普及する上でハードルが高いと認識しています。そこで最初は日系人、日本人などのだしに馴染みがある方々を対象に認知度を高めていきたいと考えています」と話す。
今後は日本食のベースとなるだしの存在を広くアピールしていくことが必要になるが、その先には限りない可能性も感じていると言う。
「今、アメリカでは日本食イコール健康的だという認識が広がっています。食においてはアメリカでの日本化が進んでいるということです。レストランでも少しずつ、だしやうまみといったものが取り入れられるようになっています。日本食に限らず、イタリアンやフレンチのベースとしても、だしが使われるようになるのではないかと期待しています。まさにさまざまな料理のベースになる存在なので、一度受け入れられたらチャンスは一気に広がると思います」
アメリカにおいても同社が持つ「食材と商品に込めたこだわり」をより直接的に消費者に届けたいと菊池さんは抱負を語る。
Kubara Honke Group Co., Ltd.
https://usa.kayanoya.com
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