ビバ・キューバ あなたも行ける禁断の国

文/細田雅大(Text by Masahiro Hosoda)
写真/川畑嘉文(Photos by Yoshifumi Kawabata)

キューバ中部の古都、トリニダーの街角Photo © Yoshifumi Kawabata

キューバ中部の古都、トリニダーの街角
Photo © Yoshifumi Kawabata


cuba_map

VIVA CUBA

キューバへの渡航は法律違反?

「キューバ旅行って、やはり違法なんだと思うわ」

 オレゴンから来たという米国人教師が、隣に座る私に言った。
 私たちはキューバの国営航空クバーナが、1日に1便だけ飛ばすメキシコ・カンクン行き旅客機の中にいた。見知らぬ旅行者同士の会話に花が咲き始めたのは、キューバの首都ハバナを飛び立ち、メキシコへの90分ほどの飛行時間があらかた過ぎた頃だった。私と同様に彼女も、キューバ訪問は今回が初めてだったという。
 「米国によるキューバへの経済制裁はアンフェアだ」という点で私たちの意見は一致した。かの地で楽しく過ごしたばかりだから、キューバ人に肩入れする気持ちは強かった。しかし、渡航の違法性については微妙に意見が分かれた。
 「いや、アメリカ人がキューバへ行くこと自体は必ずしも違法じゃないみたいなんですよ」と私は言った。「違法なのは、金を使うことだそうです」
 怪訝そうな顔の彼女を見て、私は話題を変えた。「クバーナの旅客機が旧ソ連製だというのは本当のようですね」。そして非常口を指差した。彼女の位置からは見えないが、非常口のサインはロシア語だった。彼女は目を輝かせ、いそいそとカメラを取り出した……。
 フロリダのすぐ南に位置するカリブ海最大の島、キューバ。1959年の革命を導いたフィデル・カストロの下、50年以上に渡り社会主義体制を敷くこの国は、米国にとって「敵国」だ。米政府は「Trading with the Enemy Act」という法律に基づき「敵国」との金銭取引を禁じている。だから米国人や米国居住者は、キューバとの間で金を使ってはならない。金が使えないのなら航空券だって買うことはできない……はずだ。
 しかし実際には、私の隣に座ったオレゴンの教師のように、一部の米国人は何事もなく航空券を買って何事もなくキューバ観光を楽しんでいる。永住権保持者である私もまたそうだ。昨年6月、私は1週間ほどキューバに滞在した。滞在中、もちろん金は使った。あれから9カ月が過ぎたが、米当局に逮捕される気配はない。もしかすると本誌読者の中に当局の関係者がおられるかもしれないが、その場合は、切にお目こぼしを願う次第だ。


1

2 3 4

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
  2. 2022年12月9日

    住みたい国
    熊本県八代市の「くまモンポート八代」で 8月の終わりから9月中頃にかけて、私とニナは日本に飛...
  3. 2022年12月7日

    日常の些事
    冬の落ち葉 年齢を重ねると、だんだんと感動が薄くなるとはよくいわれる。ほとんどのことは過去に...
  4. 2022年12月6日

    美酒と器
    酒器の種類 酒器にはさまざまな素材、形のものが存在する。適切な器を選ばないとお酒本来...
  5. 契約上のトラブル 広範囲にわたる法律問題を扱う弊社にはさまざまなお問い合わせがありま...
  6. この号が出る頃、私とニナは日本での3週間の滞在を終えてアメリカに戻っているはずだ。ニナにと...
  7. 2022年10月7日

    森英恵の反骨精神
    裏庭の蝶 ファッションが好きな女性はたくさんいるだろう。私もその一人だ。休日の気晴らしは以前...
  8. およそ2000人の作業員により、6年間で建設されたリドー運河 カナダの首都オタワと、5大湖の...
ページ上部へ戻る