第54回 多頭飼い
文&写真/寺口麻穂(Text and photos by Maho Teraguchi)
- 2013年3月5日
犬好きなら犬が追いかけっこをしたり、じゃれあって遊んだりしている光景を一日中見ていても飽きないですよね。犬同士のコミュニケーションをずっと観察していたいと思っている私ですが、実は今までに多頭飼いの経験がありません。もちろん考えたことがないわけではありませんが、単頭飼いと多頭飼いでは飼い主の責任と負担レベルがかなり違います。今回は、多頭飼いする際に知っておきたいことについてお話します。
たかがもう一匹されど一匹
1+1=+2。一匹増えれば当然それだけ飼い主への負担が増えます。食費は倍増、健康管理のコスト(定期検診、予防注射や病気予防薬など)も倍必要になります。また、ペット保険に加入しているならその費用も増えるし、病気やけがの治療費負担率も上がるわけです。金銭的な面以外にも変わってくるものはいろいろあります。姉妹が多かった私は、子供のころ、よく自分だけのスペースを欲しがりましたが、犬も同じ。多頭の際、一匹ずつが「自分の場所」と安心してくつろげるスペースを確保できるかというのも犬の精神衛生上、大切です。特にそれぞれのサイズや年の差がある場合、犬同士が仲良くすることに100%確信が持てるまで、監視できない時は別々にする手段が必要です。トレーニング、しつけ、運動などにかかる時間と労力も、一匹増えるともちろん余計にかかります。そして、これらはあくまで組み合わせが上手くいった場合の話で、もし相性が合わない場合は家中が大混乱になり家族全員のストレスもかなりたまってしまいます。
マッチングのポイント
では、なるべく問題の起こらない新入り犬の選び方は? 二匹の場合、一般的にオス・メスが望ましいですが、それも個々の性格で同性でも問題ない場合も多いです。注意したいのは年齢とサイズの差、そして個々の性格。老犬を亡くす前に二匹目をと考える飼い主も少なくありませんが、老犬に、新入りとの生活で新たなストレスを与えてはかわいそう。ただ反対にシニア期に突入し元気をなくしていた犬が、新入りとの生活で一気にはじけるというケースもあります。先住犬の現状をしっかり把握することが大事です。また、サイズも大切で、大型犬が故意ではなく、小さい犬にけがをさせてしまうこともあります。個々の性格は大きな要素。先住犬に攻撃性があったり、支配力が強い犬だったりすると新入りとの生活が順調に滑り出すまでかなりの時間と労力がかかります。また過剰吠えなどの問題行動は犬から犬に「複写」されるので、問題を持つ犬に仲間ができればそれが倍増してしまいます。
飼い主が、多頭飼いしたいという欲求を優先させるのは人間の勝手。現実的になり、犬の幸せを一番に考えることが大切です。特に先住犬が今のまま幸せでいられるかどうかが鍵でしょう。また、新入り犬にとってもその家族に加わることが幸せかどうかをしっかり考えてあげるべきです。要は、無理せず人間も犬も全てを含めた調和を重視し決断することです。
多頭飼いの代用策
「やっぱり今の状態では無理…」という状況でも臨時で多頭飼いを楽しめる方法はあります。シェルターやレスキュー団体のホームレス犬を一時預かりする。愛犬が仲良しの犬を預かりお泊まり会をする。犬たちにとっても特別な楽しい時間になり、今度何かで必要な際に自分の犬も預かってもらいやすくなります。わが家に関しては、多頭飼いをするにはまず私自身の生活全てにもう少し余裕がなければできないのが現状。でもそのうち「臨時」でも「永久」でも犬が複数いる家庭を作って一段と楽しい愛犬たちとの生活ができればと願っています。
次回は、犬の飼い主の条件についてお話します。お楽しみに!
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