第7回 「クラフトビールって言いません」
文&写真/小野アムスデン道子(Text and photos by Michiko Ono Amsden)
- 2015年10月27日
- 2015年11月5日号掲載, オレゴン州
ビール天国のツアーに日本人も参加してほしい
大手ビールメーカーであるキリンビールが代官山にブルワリー(醸造所)をオープンするなど、小規模生産のクラフトビールがちょっとしたブームだ。ポートランドは、そのクラフトビールの天国。連載第2回でも少し触れたが、市内だけで64ものブルワリーがあり、その数は世界一。自らBeervana(ビアバーナ:ビールと涅槃の地ニルバーナを足した造語)と称してしまうほどだ。
そこで、オレゴン州のビール、ワイン、スピリッツ、シードルについてのブログ『オ州酒ブログ』を発信し続けて7年、現在、「ブルヴァナー(BREWVANA)」というビールツアーとコラボして、日本語でビールツアーの案内をされているレッド・ギレン(Red Gillen)さんにポートランドのビール事情についてうかがった。
「ブルヴァナー」は、元々はアメリカ人向けのツアーだが、レッドさんは日本人にも参加してもらいたいと、2011年から日本語ガイドとして一緒に回るツアーをスタートした。ウォーキング・ツアー(月〜金曜)とバス・ツアー(木〜日曜)の2通りで、だいたい3時間から4時間でブルワリーおよびパブを3、4カ所巡る。個人では見つけにくい小規模でこだわりのあるビール造りをしている所、ちょっと遠くて行きにくい所などもピックアップ。解説付きで試飲をし、途中でちょっとしたおつまみも楽しめる。シーズンの夏には、日本語ツアーも週に2、3回はあり、日本人向けのオリジナルツアーを催行することもあるという。
香り高いエールは基本 ブルワリーの個性を楽しむ
クラフトビールは、アメリカのブルワーズ・アソシエーションの定義では、小規模であること(年間生産量600万バレル以下)、独立していること、小規模であることとなっている。ポートランドは冷涼な気候で、よいビールを造るための素材である水、二条大麦、ホップ、酵母が揃い、1984年から「ブリッジポート」「ウィドメア」「マクメナミンズ」という3つのブルワリーがおいしいクラフトビールを造ってブームとなって以来、どんどんブルワリーが増えた。レッドさんは「ポートランドでビールと言えば、クラフトビールであることが当たり前なのでいちいちそうだと名乗らない」という。そして「最近のトレンドとしてサワービールや度数が低めのIPA(インディアン・ペール・エール)などが出る一方、ジンやウィスキーの樽で熟成させた度数の高いものも出ていて、主にこちらは冬向け。季節限定ビールが多い所やチーズなどとのペアリングを提案している所など個性的なブルワリーを楽しめるのがポートランドの魅力」だそう。
ポートランドのビールは、エールと呼ばれる様々な種類のよい香りがするビール。ツアー参加の日本人の中には「ポートランドに来て初めてビールに香りがあると知った」という人もいるという。私も最初にポートランドで飲んだビールの香り高さは衝撃的だった。出来立てのビールをブルワリーで飲む魅力、未体験の人には、ぜひポートランドに来て、その味を知って欲しい。
ブルヴァナー
(BREWVANA)
www.experiencebrewvana.com/japanese-home/
(日本語)
オ州酒ブログ
www.oshuushu.com
コモンズ・ブルワリー
(COMMONS BREWERY)
住所:630 SE Belmont St., Portland, OR 97214
www.commonsbrewery.com
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