第63回 正しいリード歩行(後編)
文&写真/寺口麻穂(Text and photos by Maho Teraguchi)
- 2013年12月5日
前回、散歩が犬の毎日の生活にどれだけ大切な役割を果たすかをお話ししました。しかし、その重要な散歩も犬が飼い主をぐいぐい引っ張ったり、ほかの犬に吠えかかったり、何にでも飛びついたりというようなマナーの悪さだと飼い主もおっくうになり、排泄のためだけか、全く散歩をしないというケースになることもあるでしょう。すると犬は欲求不満をため問題行動を起こす。誰にとっても満ち足りた毎日にはなりません。快適な散歩をするためには、正しいリード歩行をマスターする必要があります。今回はその方法をマスターするためのテクニックについてお話しします。
まずは道具選び
正しい道具を使用することは快適な散歩の第一歩。リードの長さは6フィートが最適です。また、大抵の地域では6フィートリード着用の法律が定められ、散歩にリードなしや長く伸びるリトラクタブルリードはNG! リードを上手に使うため、リードには何もつけずポーチに必要な物をすべて入れ歩くか、犬にバックパックを使用し持ち歩かせるという手もあります。引っ張る犬、指示を聞かない犬にハーネスの使用は絶対にNG! 首輪は総合的にみてマーティンゲールカラーが一番! と私は長年愛用しています。
飼い主の姿勢と心
散歩中、何をおいても大切なのは飼い主の姿勢と心の状態です。顔を上げ、目は前方を見る。肩と手の力を抜き、リードを持つ手はアタッシュケースを持つ感じで常に下に。そして笑顔で歩ければ5重マル。また、街や自然の変化に気がつく心の余裕が持てればなおいいでしょう。散歩中大切なのは、①犬が飼い主に注意を払っていること、②飼い主と犬が共にリラックスしていること、そして③両者が楽しんでいることです。
問題行動の解決法
吠えたら即正す:散歩中に犬がけたたましく吠えているのに、放ったらかしにしている飼い主を見かけますが、それは駄々をこねる子供が道で大声で泣き叫んでいるのに何もしない親と同じです。犬も飼い主から正されないとしてはいけないことがわかりません。放っておいたり、無理やり引っ張り立ち去ったりするのではなく、その場で即座に正し、ストップさせるのが飼い主の役目です。避けた方が賢明という障害物は避け、貴重な練習台と思えば挑戦するという使い分けもしましょう。
引っ張ったら止まる:犬がリードをぐいぐい引っ張って歩く場合、引っ張れば飼い主はすぐ立ち止まります。そこで犬が振り返りこちらに注目したらおやつをあげるなどして褒めます。再び歩き始めます。引っ張ったらまた止まる。こちらを振り返ったら褒める。この繰り返しです。最初は10歩進むのに何分もかかるかもしれませんが、犬に「引っ張る限りどこにも行けない」という概念をしっかり理解させることが大切。これを繰り返しているうちに犬も「どうすれば前に進めるのか」がわかってきます。またジグザグ歩行は危険なので飼い主が決めた側のみを歩かせましょう。
マーキングやにおい嗅ぎをコントロールする:散歩は飼い主のコントロール下という概念を教えるためにもマーキングやにおい嗅ぎを操作しましょう。3ブロック自由に歩いたら、次の3ブロックは真っすぐに進むという具合にメリハリをつけます。
犬は教えれば理解し学びます。大切なのは飼い主の根気と一貫性。教えたことは反復し、常に実行します。後はひたすら根気で勝負。愛犬にとって貴重な学習の場である散歩が楽しいものにもなるために、ぜひリード歩行をマスターしましょう。
次回は「犬種の由来」についてお話しします。
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