第70回 犬のグループ(その7)
文&写真/寺口麻穂(Text and photos by Maho Teraguchi)
- 2014年7月5日
映画「オズの魔法使い」のトト (ケアーン・テリア)、ドッグフード「シーザー」の看板犬(“ウエスティー“ことウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア)、バドワイザーのスパッズ・マッケンジーにターゲットのブルズアイ(ブル・テリア)、ブッシュ元大統領家の愛犬バーニー(スコティッシュ・テリア)、TVショー「フレイジャー」のエディー(ジャック・ラッセル・テリア)など、テレビや映画、コマーシャルなどで大変人気者のこれらの犬たちが属するグループをAKC*ではテリア・グループと称しています。今回は、フランス語やラテン語で「大地」「地面」を意味するテリア・グループについてお話します。
「なんでも かかってこい!」
大地を意味するその名の由来は、テリア・グループの犬たちが地下に生息する害獣(主にキツネ、イタチ、モグラ、野ねずみなど)を、巣穴に潜り込み駆除していたことからきています。このグループの犬の容姿はバラエティーに富み、短毛・長毛、小型から大型、また短足・長足などさまざまなタイプがいます。どの犬種も体は筋肉質で丈夫、性格的には、どんなことにもひるまない頑固で強靭なところが特徴です。そんなテリア・グループの犬たちを象徴するに一番ふさわしい言葉は「Feisty(けんか早い、元気満々、怒りっぽい、独立心の強い)」。タフで恐れ知らず、競争心旺盛で勝気、いたずらっこ。容姿はさまざまでも、これがテリア・グループ全般に共通する気質でしょう。
実は、トイ・グループに属し愛玩犬と化したヨークシャ・テリアもこのテリア・グループの犬種であり、かつてはねずみ駆除で大活躍。テリア気質を大変顕著に備えています。
外観と中身の違い
このグループの犬の飼い主になる際、とても大切なポイントがあります。それは犬の「外観」と「中身」の違いをしっかり把握するということです。テリア・グループの犬たちの中には愛くるしい容貌を持つ犬たちが多く、それゆえにメディア上での活躍も目立つのでしょうが、彼らの性格はその愛くるしい外観から大変かけ離れていて、犬の中でも大変気性の激しい性質を持っていることが多いのです。ジャック・ラッセル、ケアーン・テリア、ウエスティーなど小型サイズのテリアは、小さいサイズと愛くるしい容貌からか、かなり年配の方に慕われるようで、一緒に散歩している姿をよく目にします。しかし、個人的にこの組み合わせには少々の不安をおぼえます。大抵の場合、テリアたちが前をぐんぐん突き進んで歩き、激しい吠え声をあげて飼い主を守っていたりしています。飼い主としてテリア気質を制御するには彼らのエネルギーを上回る熟練されたスキルが必要です。このグループの犬種は、愛玩犬とは違うことを理解しておかねばいけません。また、飼う前に自分のライフスタイルの再確認をする必要があります。犬の中でも気性も行動も人一倍激しいテリア・グループ。彼らはかなりの運動量と頭の刺激、そして熟練したリーダーが必要です。そんなテリアたちには遊び好き、活発、寛大な人が合います。
また、このグループの犬たちのプレイ・ドライブ(捕食本能)は他の犬種よりも強く、小動物との共存には注意と監視が必要です。また他の犬への攻撃性も高いということも理解しておいた方が賢明でしょう。こういう性質から、彼らには熟練された飼い主による日々のトレーニングが不可欠となるのです。私はこのやんちゃで気の強いテリア気質が大好きです。
次回は「ノンスポーティング・グループ」について詳しくお話します。お楽しみに!
*AKC(アメリカン・ケネル・クラブの略)
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