シリーズアメリカ再発見㉛
A River Runs Through…
テネシー州チャタヌーガ

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

チェロキー国有林では、滝をめぐるハイキングなどが楽しめるPhoto © Mirei Sato

チェロキー国有林では、滝をめぐるハイキングなどが楽しめる
Photo © Mirei Sato

滝を追って

 ハーワシー・リバーは、テネシー州南東部に広がるチェロキー国有林の中を流れている。国有林の深い森は、グレートスモーキーマウンテンズ国立公園へ、さらにアパラチアン山脈へ、と続いていく。
 外国人なら、アメリカの国立公園と聞けばヨセミテやグランドキャニオンをまず挙げる。でも実は、アメリカで最も訪問者数が多い国立公園は、グレートスモーキーだ。理由は、とにかく広いこと。そして、アメリカ東部とフロリダの中間に位置し、アクセスしやすいから。
 「ニューヨークのような東海岸に住んでいると、山がすごく恋しくなるものなんですよ」と、国有林を案内してくれたテネシー・オーバーヒル遺産協会のジェラルド・ホッジさんは教えてくれた。テネシーの人たちは、夏休みになると、グレートスモーキーのキャビンを借りて一家でキャンプをする。

 ハーワシー・リバーは、やがてテネシー・リバーに合流する。テネシー・リバーが大きく蛇行してUの字型になったところが、チャタヌーガの街だ。
 街はずれの山、ルックアウト・マウンテンに登ると、チャタヌーガが水に恵まれた土地であることがよくわかる。頂上の「ロックシティー・ガーデンズ」には、7州を一望できる展望台がある。
 一帯は、テネシーとケンタッキー、アラバマにまたがるカンバーランド高原の一部で、数億年に渡って川がつくりだした1000フィートもの高低差、奇岩や滝が点在している。

ルビー・フォールズPhoto © Mirei Sato

ルビー・フォールズの洞窟
Photo © Mirei Sato

 山の地下、洞窟の奥深くにある「ルビー・フォールズ」は、アメリカ人の「死ぬまでに一度は見たいものリスト」に載っている名滝だ。1928年、リオ・ランバートという地元の男性が、岩の隙間を17時間も這いつくばって進み、この滝を見つけた。

 地下1100メートルを1時間近く歩くツアーに参加した。ひんやりとした洞窟の中の岩の造形の妙に、ただ驚く。映画インディアナ・ジョーンズか、アジアの岩窟神殿か。人間の腸や内臓を探検しているようでもある。
 真っ暗闇の中、微風を顔に受けた。ザザザーッという音が聞こえて、足元の岩が濡れているのが分かる。青や紫の照明がともり、滝が姿を現した。ものすごい水量だ。洞窟には、天然の割れ目や隙間はないという。一体どこから水が流れてくるのだろう。神秘的だが、恐怖も感じた。
 ツアーガイドのブラントさんは、「この滝は偶然発見されたもの。チャタヌーガ周辺の地下深くには、ほかにももっと美しい滝があって、誰かに見つけてもらうのを待っている——。そう信じられているんですよ」と話していた。

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