シリーズ世界へ! YOLO⑱
自転車で回る台湾~後編

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

台中 / タイジョン / Taichung

春水堂のタピオカミルクティー Photo © Mirei Sato

春水堂のタピオカミルクティー
Photo © Mirei Sato

 日月潭を後にして、台中へ向かった。もちろん自動車で。台湾全土を自転車でツーリングして回ることもできなくはないけれど、私たちの脚力ではとても無理。
 台湾は、日本のように「ドライブイン文化」が発達していて、車で移動するのもなかなか楽しい。トイレ休憩のたびに、その土地の特産品を買ったり、お菓子を試食したり。どこでも、ゆったりしたメロディーのBGMがかかっていて、夏川りみの「涙そうそう」、郷ひろみの「カサブランカ」にも遭遇。南国のドライブインで聴くと、また違った趣がある。
 台中は、台湾で3番目に大きな都市だ。リラックスした雰囲気で知られている。というのも、台北や高雄で役人や教師をしていた人が引退後に好んで住む街だから。「引退してやることといったら、食べることと、飲むことでしょう」とガイドさん。そのおかげで、レストランやスイーツが充実。台湾のベーカリーの多くが、台中を発祥地にしているという。カリフォルニアにも店舗がありいつも行列ができている「85℃」は、台中が本社だ。
 タピオカアイスティー(アメリカでは「ボバ」)も、台中生まれだ。発祥の店とされる「春水堂人文茶館」へ立ち寄った。
 数十年前まで、台湾ではアイスティーを飲む人はいなかった。急須と湯のみで熱いお茶を飲むのが常識だったが、この店のオーナーが夏に日本に行ったとき、ステンレススチールのシェイカーで作ったアイスコーヒーを飲んだのがきっかけで、台湾にアイデアを持ち帰り、お茶に砂糖と氷をいれてアイスティーを出したのが最初だという。若い女性の店員が、そこにタピオカを加えるのを思いついた。彼女は今、同店のバイスプレジデントになっているそうだ。
 店の2階で、作り方を伝授してくれる。熱いお茶を氷の上から注いで、ケーンシュガーを合わせて、シャカシャカシャカ。どれだけ泡立つか、が腕の見せどころ。
 私はまったく知らなかったのだが、アメリカで一般的な呼称「ボバ」は、台湾では「巨乳」という意味もあるそうで…。ちょっと気をつけたい相手には、「タピオカミルクティー」と言うようにしよう。
 


 

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