シリーズ世界へ! YOLO⑱
自転車で回る台湾~後編

文&写真/佐藤美玲(Text and photos by Mirei Sato)

九份 / ジョウフェン / Jioufen

Photo © Mirei Sato

Photo © Mirei Sato

 台北のいいところは、1時間もあれば海や山へ行けること。
 奇岩が続く海岸線をドライブして、郊外の九份を訪れた。ここには、日本が台湾を占領中に開発した金鉱の跡がある。日本人職員の宿舎とか、視察に来る日本の皇太子(のちの昭和天皇)のために建てた迎賓館(*皇太子は結局来なかった)などが残っている。
 坑道の中も見学できるし、周りは緑が豊かで、トロッコに座ってぼーっとしてもいい。最高なのは「茶屋」だ。ショウガやアズキをのせた豆腐汁が、ここの名物。疲れた胃袋にしみわたる。
 名所・九份老街は、石畳の細い路地と急な階段、坂道が入り混じる。世界的にヒットした台湾映画「悲情城市」のロケ地で、映画公開後に観光地としての人気が爆発した。
 店・店・店、ほとんどが食べ物だ。中国大陸からの団体客、台湾各地からの観光客、日本人の団体旅行客も交じって、初詣に来たかと思うような混雑ぶり。
 どこの店も、テレビや雑誌、芸能人の食べ歩き番組などで紹介され尽くした様子だ。人気の店で食べたかったら、遠慮などしていられない。
 石畳の下を流れる排水溝からは、様々な食べ物のにおいが漂ってくる。臭豆腐の「香り」もふんわりと。アメリカ人はここでもやっぱり鼻を押さえて逃げてしまった。 美味しいものにたどり着きたければ、くさい道を入っていくことも、時には必要なんだけれど…。
 人が集まるところには、政治家も寄ってくる。私たちが訪れた11月は、ちょうど台湾全土で選挙戦の真っ最中だった。行く先々で、候補者のポスターや立て看板、ウグイス嬢つきの選挙カーを見かけたが、ここにもいた。たすきをかけて街頭演説、握手にいそしむ候補者が!
 疲れたな、と思ったら、路地を1本はいれば静かで、ゆっくりお茶をいれてくれる店もある。坂の上から見る湾の景色は格別だ。

◆  ◆  

 私たちが乗るロサンゼルス行きの飛行機は、深夜に桃園(タオユアン)空港を飛び立つ。出発までの残り時間を使って、温泉街・北投(ベイトウ)に寄った。先住民の言葉で、魔女という意味。地面から湧き出る湯気を、そう呼んだ。
 街には、日帰り入浴をさせてくれるホテルや旅館が並んでいる。やわらかい硫黄の温泉だ。
食べ物のにおいを洗い流し、しっかり体を温めて、空港へ。アメリカに戻ったら、それこそ自転車でもこがないと…。5人そろってお腹をさすりながら、大満足で台湾を後にした。
 


 

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