子供の資格保護法 その2

文/ミチコ・ノーウィッキ(Text by Michiko Grace Nowicki)

 前回のコラムで子供の資格保護法(the Child Status Protection Act.以下「CSPA」という)についてご説明しました。CSPAにより、21歳以下の子供のための請願書が保留となっている間に、その子供が21歳の誕生日を迎えてしまっても、CSPAの必要条件を満たしていれば子供としての資格を失わずにすむかもしれません。条件については前回のコラムをご確認ください。
 
 I-130請願書が許可され、あなたの子供が21歳になるまでに優先日(“Priority Date” I-130がアメリカ移民帰化局USCISに受理された日)が「現行”Current”」になっている場合、1年以内に永住権申請を行うことで、あなたの子供はCSPAによって保護されます。もし子供が21歳の誕生日を迎えた段階で、I-130請願書が許可されていない、または優先日が「現行」でない場合は、毎月アメリカ国務省より発行されるビザブレティン(Visa Bulletin)で優先日を確認しましょう。優先日が「現行」となったら、以下のような計算をすることで、CSPAが適用されるかどうか確認できます。
 
 例えば、あなたの子供が1989年11月30日生まれで、優先日が2010年2月15日、そして2012年7月発行のビザブレティンで、子供の優先日が現行となったとします。子供が21歳の誕生日を迎えたのは2010年11月30日ですので、その時点ではまだ優先日が現行となっていなかったことになります。最初に、ビザブレティンの発行月の1日の時点でのあなたの子供の年齢を確認します。この例の場合ですと2012年7月1日での子供の年齢は、22歳7カ月と1日となります(もしくは生まれてから8249日)。このような日数の計算は、以下のようなウェブサイトを使って簡単に行えます。http://www.timeanddate.com/date/duration.html
 
 次にI-130の審査日数を、優先日が現行となった日(この場合2012年7月1日)の子供の年齢から引き算します。I-130の審査期間は、優先日からビザブレティンの発行日までの日数を計算することで算出できます。この例の場合、審査期間は2年4カ月と16日(867日)となります。よって22年7カ月と1日(審査日数)から、2年4カ月と16日(優先日が現行となった時点での子供の年齢)を引くと、子供の「CSPA年数」は約20年と3カ月ということになります。つまり「CSPA年数」が21年以下ですので、1年以内にグリーンカード申請を行うことにより子供はCSPAにより保護されます。グリーンカード申請は、アメリカ国外にいる場合はフォームI-824を、合法的に国内にいる場合はフォームI-485を提出します。
 
※この記事はクライアントからの質問を一般的に書き換えたものです。法的なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談してください。

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ミチコ・ノーウィッキ (Michiko Nowicki)

ミチコ・ノーウィッキ (Michiko Nowicki)

ライタープロフィール

ウィリアム・S・リチャードソン・スクール・オブ・ロウ卒業。米国移民弁護士協会所属、米国弁護士協会所属、ハワイ州弁護士協会所属。日本居住歴19年。バイリンガル。

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