前回に引き続きアメリカの人事業務についてお話し致します。今回は従業員にとって本来重要なはずなのに、あまり意識されない人事関連書類について触れたいと思います。皆さんも入社する際に多くの書類に署名されたと思いますが、人事はこれら書類の作成と管理を行っています。
【内定通知書と不採用通知】
採用する従業員が決定すれば、その候補者が他社に就職しないよう迅速にOffer Letterを作成し本人へ送付します。オファー内容に関する質問への対応はもちろん、時には引越しが必要な候補者のために現地の住居や生活情報なども提供します。また、残念ながら不採用となった候補者にもその旨速やかに通知します。訴訟などのリスクを回避するために、不採用理由は記述しないのが一般的です。
【バックグラウンドチェック】
入社前に行うバックグラウンド・チェックやドラッグテストなどの手配も人事の代表的な仕事のひとつです。これらは人事関連書類の中でも非常に機密性が高く、取り扱いには細心の注意が必要とされます。また、入社後社用車を運転する場合には、入社前はもちろん入社後も定期的に運転履歴の確認などを行います。
【競業避止契約書・機密保持契約書作成】
一般的にこれら書類が必要と思われるポジションで勤務する従業員とは、入社時に書面で契約を交わします。退職後一定期間、特定のエリアの競合他社に転職しないこと、他の従業員を誘って退職させないこと、機密情報は転職後も一切漏洩しないことなどについてなどが記載されています。こちらも人事が定期的に改定し、必要に応じて弁護士に確認させます。
【就業規則・ポリシー作成】
就業規則を受領し署名したものの、福利厚生の部分しか読んでないという方は意外と多いのではないでしょうか。実は福利厚生以外の部分には様々な会社の規則が書かれており、守らないと懲戒または解雇となるような重要項目も含まれています。また、詳細は別紙と書かれている項目もあり、こちらは頻繁に変更される項目(保険など)などが該当します。
これら就業規則は通常人事部によって定期的に見直しされ、組織の実情に合わせて変更や新たな法律・条例を順守するために適宜改訂されます。更新後は全従業員へ速やかに新規則の周知徹底を行います。
【昇給/昇進通知、雇用証明など】
受け取ったことがある方も多いと思いますが、昇給や昇進通知書や雇用証明書の作成、従業員が申請したローンなどの問合せ資料の対応なども行っています。
【個人ファイルの管理】
個人ファイルは人事部署にある鍵付きの収納庫に保管され、プライバシー保護のため人事以外の従業員は簡単に見ることが出来ません。応募書類やバックグラウンドチェック結果、トレーニング修了証、懲戒記録 や人事考課記録、保険関連書類など多様な記録が保管されています。必要とする 従業員やその上司へは必要部分だけを開示し、複写、改竄、抜き取りができないよう立ち会います。
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