「フィエスタ」(Fiesta)は、毎年4月下旬に行われる。サンアントニオ最大のフェスティバルで、125年の歴史がある。約10日間にわたって100以上のイベントが開かれる。サンアントニオ・リバーをボートでゆく「Texas Cavaliers River Parade」や、花をあしらった豪華な山車が登場する「Battle of Flowers Parade」が有名だ。
夜通し飲んで食べて踊りまくる「A Night in Old San Antonio」(*頭文字をとってNIOSA=ニオーサと呼ぶ)も盛り上がる。串刺しフライドチキン、タマネギ丸ごと花びら揚げ、巨大チュロスといった、ジャンクで美味しい屋台フードが街にあふれる。
フィエスタのシンボルは「花」と「卵」だ。女性は、職場や学校へ花柄模様の服ででかけ、頭や首を花輪で飾る。クレープ紙をクシャクシャに折ってつくる花飾りも目につく。
カラフルな卵「カスカローネス」を、友達や家族の頭に軽くぶつけあって割るのが、ならわしだ。中からコンフェッティ(紙吹雪)が飛び出して、これが「グッドラックのしるし」になる。「夜中に家に帰って、カスカローネスの紙吹雪が体じゅうの変なところにまでついていなかったら、フィエスタを十分に楽しまなかった証拠」。そんなジョークもある。
カスカローネスは、マルコ・ポーロが中国で見つけて持ち帰り、スペイン経由でメキシコへ伝わってヒスパニックの文化になったといわれている。アメリカではテキサスの南部で受け継がれている。
サンアントニオには、カスカローネスの伝統を守る女性たちの会がある。週に1回集まって、年間で5万個、ニオーサだけで3万5000個のカスカローネスをつくる。ペンで卵の殻に絵や模様を描き、紙吹雪を中に詰めて、のりづけして封をする。すべてが繊細な手作業だ。
28年続けているというベテランのローザさんは、「テキサスの歴史、それはつまりヒスパニックの歴史ですが、それを守り子供たちに伝えていくことが大事だと思っているんです」と話してくれた。
つくった卵は、夜のニオーサのフェスティバル会場でも販売する。ローザさんは、美味しいと評判のタマーレの屋台も仕切っていて大忙しだった。
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