全米中から熱視線
大谷翔平、エンゼルス入団

文&写真 / 三尾圭(Text and photos by Kiyoshi Mio)

エンゼルスの入団会見で笑顔を見せる大谷翔平

エース投手で4番打者というのは少年野球や高校野球ではよくあるパターンだが、プロ野球やメジャーリーグでは不可能だと思われていた。

そんな野球の常識を覆したのが大谷翔平。日本人最速の165キロの速球を投げるだけでなく、打っても東京ドームの天井に打球をぶち当てるほどのパワーを誇る。漫画かゲームの世界の主人公のような大谷は、2016年に10勝&22本塁打を記録するなど投打に大活躍。今オフにメジャー挑戦を表明して、ロサンゼルス・エンゼルスに入団した。

弱冠23歳の大谷は100億円以上の価値がある選手だが、メジャーリーグの規定では25歳未満でドラフト対象外の外国人選手はメジャー最低年俸(約6000万円)に近い額しか手にできない。あと、2年待てば100億円以上の大型契約を手にできたのに、お金よりも自らの夢を優先して、このタイミングでのメジャー移籍を決断した。

日本で二刀流として実績を残した大谷は、メジャーでも二刀流に強くこだわり、二刀流として活躍できそうなチームを選択。日本で新しい価値観を生み出したように、メジャーでも新たなトレンドを作れるかが注目される。

メジャーリーグでは先発投手を5人で回すローテーションが普通だが、エンゼルスのマイク・ソーシア監督は大谷が二刀流として活躍できるように、日本と同じ6人ローテーションの導入を検討している。また、打者として出場するときは故障のリスクがある守備は避けて、打撃専門の指名打者として起用する意向だ。エンゼルスの指名打者には将来の殿堂入りが確実視されているアルバート・プーホルスがいるが、ソーシア監督は年俸30億円をもらう37歳のプーホルスに一塁を守らせてまでも大谷に指名打者の座を与える心づもりだ。

メジャーではあのベーブ・ルースが1918年に13勝、11本塁打を記録して以来、同一シーズンに二桁勝利と二桁本塁打をマークした二刀流選手は出現していない。幻の記録だと思われたルースの記録から100年後の今年、日本から海を渡ってやってきた大谷はメジャーでも二刀流として成功できるのか? 日本のみならず、全米中のファンが大谷に熱い視線を注いでいく。

日本人選手がいないNFLで
活躍する日本人チアリーダーたち

NFLでチアリーダーとして活躍するジャガーズの小野さん(左)とタイタンズの曽我さん(右)

メジャーリーグでは日本人選手の活躍が当たり前になってきたが、野球以外のアメリカ4大スポーツには残念ながら現役の日本人選手はいない。 アメリカでもっとも人気があるスポーツであるアメリカンフットボール。NFLはレギュラーシーズンが終わり、ここからの1カ月間はスーパーボウル出場を争うプレーオフの熱い戦いが始まる。
NFLのフィールドに立つ日本人選手はいなくても、日本人のNFLチアリーダーの数は毎年増えており、今年は10人もの日本人女性がサイドラインに立ち、華麗なパフォーマンスでファンを魅了している。

彼女たちは文化と言葉の壁を乗り越えて、NFLチアリーダーになるという夢を叶えた才女たち。NFLチアリーダーはアメリカ人女性の憧れの存在で、ダンスが上手いだけ、ルックスが美しいだけではなれず、知的さも求められる。毎年春に行われるオーディションは10~30倍の競争率で、チームを代表する存在に相応しい女性だけが選ばれる。

日本人チアリーダーはオーディションを勝ち抜いたとしても、ビザの問題もクリアしないとならない。メジャーリーガーと同じOビザを取得するのは簡単ではなく、100ページ以上の資料を準備してから審査に臨む。

また、晴れてビザが支給され、チアリーダーとしてNFLのサイドラインに立てたとしても、チームから支払われる給料は最低賃金に近い。ビザの問題で、NFLチーム以外で仕事をすることも禁じられており、日本での貯金を切り崩しながら活動を続けている者もいる。

そこまでしてまでも、彼女たちはNFLチアリーダーとしての活動にやり甲斐を感じているという。そんな日本人チアリーダーが試合を盛り上げていることに注目しながら、NFLを観てみてはいかがだろうか?

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三尾圭

ライタープロフィール

写真撮影と記事執筆の二刀流を誇るスポーツフォトジャーナリスト。アメリカ4大スポーツを中心に、あらゆるスポーツを追いかけて全米を飛び回る。

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