シモーン・きみか・ホリディ
イーグルス盛り上げるNFLチアリーダー

写真提供:Simone Kimika Holliday

 スポーツの枠を超えて、アメリカの国民的イベントとしての地位を築いているスーパーボウル。NFLの優勝決定戦であるスーパーボウルは、毎年のように年間最高視聴者数を記録しており、今年もアメリカ国内だけで1億人以上がテレビで観戦した。

 連覇を狙うニューイングランド・ペイトリオッツ対、初優勝を目指したフィラデルフィア・イーグルスの戦いとなったフィールドで、一人の日本人が試合を盛り上げた。イーグルスのチアリーダー、シモーン・きみか・ホリディがその人だ。

 シモーンは米国空軍人の父親と日本人の母親の娘として横田基地で生まれ、1歳まで日本で過ごした。その後は父親の赴任でハワイやドイツで暮らした。日本語学校に通ったことはないが、家で母親から日本語を教えられたので、日本語も不自由なく話せる。小学校3年生から高校を卒業するまではバージニア州で育ち、大学は芸術大学として名高いフィラデルフィアのザ・アーツ大学に進学。

 ハワイに住んでいた3歳の頃にダンスと出会い、フラ、バレー、タップを始めた。あらゆるジャンルのダンスに親しんだ。

 「3歳の時、テレビに出る人になりたくって、ダンスを始めました。水泳やゴルフなどいろんなスポーツもやったけど、ダンスが一番好きで、いつも踊っていました」

 あらゆるダンスを経験してきたシモーンだが、イーグルスのチアのオーディションを受けるまでにスポーツチームを応援するチアだけは経験する機会がなかった。

 大学で出会った先輩がイーグルスのチアリーダーで、「イーグルスのチアリーダーになれば素晴らしい経験をできるだけでなく、ダンス業界、エンタメ業界への人脈も広がる」と勧められ、大学2年生の終わりにオーディションを受け、みごとに一発で合格。難関のNFLオーディションに一度で合格できるチアリーダーは少ないが、シモーンはダンスの技術とフレンドリーな人柄を高く評価されて合格を手にした。

写真提供:Simone Kimika Holliday

活動2年目でチーム代表
プロボウルに選出される

 NFLのチアリーダーはポンポンを持って踊るだけの存在ではなく、内面、外面ともに美しく、知的な女性たち。
「NFLチアリーダーはボランティア精神も高く、愛情に溢れています。私も子どもたちの模範となれるように気をつけています。7万人のイーグルス・ファンで埋まるスタジアムで踊る経験は言葉にし難いほどの経験で、フィールドに出て行った瞬間に鳥肌が立ちました」

 NFLのチアリーダーが試合で踊れるのは、年間10試合しかない。学校や病院を訪問したり、イベントに出演したりする仕事の方が多い。

 「踊るのは大好きだけど、新しい人と出会って話すのも大好き。コミュニティに貢献して、困っている人に助けの手を差し伸べる機会も与えてくれるイーグルスのチアリーダーとしての活動は本当に楽しいです。NFLのチアリーダーとして人と接することで、人に勇気と力を与えることができるのですから」

 そんなシモーンは2年目の今季、NFLのオールスターゲームであるプロボウルに選出された。NFLの各チームは、チーム代表として1人のチアリーダーをプロボウルに送り出す。活動3年以上のベテランが選ばれるのが普通だが、シモーンはわずか2年目にしてその栄誉を手にした。

 プロボウルはスーパーボウルの1週間前に行われるために、スーパーボウルを戦う2チームの選手は出場しない。今年のプロボウルにはイーグルスの選手の姿はなかった。「イーグルスを代表するのは私だけでした。イーグルスのファンは私を応援するプラカードを手にして、私の名前を叫んで応援してくれました」。さらに、全世界が注目するスーパーボウルの舞台にも立ち、イーグルスを優勝に導いた。

 プロボウル選出とスーパーボウル優勝。NFLのチアリーダーの中でも、毎年1人だけしか手にできない栄誉を経験したシモーンは、大学卒業のタイミングも重なることから、NFLチアリーダーから引退する。

 「イーグルスのチアリーダーとして活動した2年間で信じられないような経験をたくさんさせていただき、ダンサーとしてだけでなく、人間としても大きく成長させてもらいました」と語るシモーンはNFLのフィールドを飛び出して、エンターテインメントの世界でも輝いていくことだろう。

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三尾圭

ライタープロフィール

写真撮影と記事執筆の二刀流を誇るスポーツフォトジャーナリスト。アメリカ4大スポーツを中心に、あらゆるスポーツを追いかけて全米を飛び回る。

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