女性起業家&プロフェッショナル

Text by Keiko Fukuda

日本から単身渡米し、好きな仕事を通じて夢をつかんだ 3人の女性たちの物語。

人を育てることで
より良い社会にしたい

New York
大澤 直美
NYキャリアアカデミー代表
米CCE(Center for Credentialing  & Education)認定グローバルキャリアカウンセラー
NYキャリアアカデミー
http://www.nycareeracademy.com

 

夢は国連職員だった

群馬県に生まれ育って、高校卒業まで日本、大学入学からニューヨークです。子どもの頃からなぜか社会を良くしたいという思いを抱いていました。それは一体なぜだろうと今になって考えてみると、理由は二つあって、一つは広島と長崎に落ちた原爆の写真を見て衝撃を受けたこと、もう一つはガールスカウトの活動を通じて常に世界の平和を意識していたことだと思います。そして将来の夢は、ニューヨークにある国連の職員になることでした。

大学でアメリカに来てからの苦労? 苦労はすぐに忘れてしまう性格なのですが、確かに言語と文化の壁はありましたよね。日本の進学校ではそれなりの成績を収めていたのに、英語で勉強する時は日本での倍以上の努力をしなければなりませんでした。その壁を乗り越えることができたのは自分の努力が半分、残りの半分は周りの人たちの支えがあったからだと思います。

大学3、4年次には、国連本部や国連認可のNGO・NPOでインターンシップやボランティアを多数経験し、国連の内定もいただきました。しかし、国連を中から見ると、働き方が自分の性分には合わないかもしれないと思い始めました。さらに大学の4年間で日本を離れていた間に、世界の前に母国日本のために何か自分にできることがあるのではないかと考えるようになっていました。一言で言うと、心境の変化ですね。そこで、日米間の教育プログラムを主に手がけるコンサルティング会社に就職、さらに2年後に(株)マイナビに転職しました。

「人の成長が見られることがグローバルキャリアカウンセラーの醍醐味」と語る。
支援した大学生と一緒に

社会人10年で独立

グローバルキャリアカウンセラーは国際人材育成のプロフェッショナルです。「企業は人」という言葉がありますね。でも結局、「すべては人」だと思うんです。人を育て、人を良くすることで、人の集合体である社会が良くなると信じてこの仕事に取り組んでいます。国連には入りませんでしたが、より良い社会にしたいという自分の中の軸は今も変わっていません。

仕事を通じて手応えが感じられるのは、支援させていただいた学生の内定が決まったり、人材に興味を持って人事の仕事に就いたり、また、私のようにキャリアカウンセラーになりたいというフィードバックをいただいたりする時ですね。商品を売るビジネスではないですが、人が成長していく姿が見られることが醍醐味だと思います。こうして、1万人以上の学生を支援させていただき、社会人になって10年で独立しました。

前の会社とは現在もパートナーシップ関係にあります。社員ではなくなったけれど、外からその会社のビジネスを応援させていただいています。会社員時代は、好きな仕事だったし、裁量権もありました。何か不服があったかと聞かれるとそれはなかったんですけれど、会社員だと一つの会社の枠にとらわれてしまう、つまりリミットが決められてしまうということはあったかと思います。その枠を越えて活動がしたいと思っていました。私の性格をよく知っていた上司や同僚は、私の独立に対して「本当に残念だけど、これからはパートナーとしてお互いに前進していきましょう」と送り出してくださいました。前職の皆様には心から感謝しています。

また、個人的な事情ではありますが、フルタイムで働きながら2人の子を育てていたので、独立した方が、より効率的に子育てと仕事ができそうだと思ったことも起業の理由の一つです。

起業したことで仕事と育児の両立も効率的に。
家族との大切な時間をゆとりをもって過ごせるようになった

幸せは常にそこにあるもの

NYキャリアアカデミーを起こしてからは、相談する上司はいなくなりました。自由と引き換えに責任を負うことになったわけですが、必要な時は周りの方々に力になってもらっています。会社員時代以上に、人間関係の大切さを実感しています。

また、私の場合、起業の理由は経済的な成功を目的にしたものではありませんでした。自分やスタッフのキャリアをディベロップしながらキャリア支援を提供していくという考えが根本にあります。ですから、世間にお伝えできるような、何年までに年商いくらといった目標はありません。時間がかかっても、サービスのクオリティとクオンティティを高めていくことを大切にしています。

スタッフは現在、私を入れて7名。うちワーキングマザーは6名です。全員がフルタイムで働いているわけではなく、それぞれが理想とするワークとライフのバランスを考えて、仕事に取り組んでいます。週30時間働きたい人もいれば、それ以上の人がいてもいい。今の会社でそれぞれが描く働き方を実現してほしいという気持ちでいます。

これからアメリカで夢を追いかけようとしている人に伝えたいのは、心や精神を大切に行動してほしいということです。アメリカンドリームと聞くと経済的成功をイメージする人が多いかもしれませんが、お金があるイコール幸せとは限りません。お金がなくては生活していけませんが、一方で、お金を持っていても幸せを感じられないという人も見てきました。幸せは手に入れるものではなく、常にあるものだと考えます。物の見方や心のあり方次第で、人生の満足度は大きく変わってくると思うんです。皆さんに幸せを実感できるような人生を送ってほしいと望んでいます。

ニューヨーク州立ビンガムトン大学政治学部を卒業後、コンサルティング会社に入社。2年後に転職した(株)マイナビでは米国法人現地責任者を務める。2016年に独立し、留学、キャリアアドバイジング、研修等の人材育成事業を手がけるNYキャリアアカデミーを設立。TOEIC990点(満点)。ニューヨーク群馬県人会会長。

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