海外教育Navi 第7回
〜帰国生受け入れ校の選び方〜〈前編〉

記事提供:『月刊 海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団に所属するプロの相談員たちが一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。

Q.帰国生を受け入れる学校は多いと聞きます。学校をどのように選べばよいのでしょうか。

「海外子女教育振興財団のホームページで受け入れ校を紹介しているサイトを見ました。公立または私立を検討していますが、受け入れ校がたくさんあり、どのように選択したらよいのかよくわかりません」「子どもの高校受験に合わせて帰国する予定です。帰国生入試とは何か、またどのように学校を選べばよいのでしょうか」といった相談を受けることが多いです。

帰国後の学校を選ぶ際、どのような選択肢があるのか、また選択するうえでのポイントについて考えてみましょう。

帰国後の学校選択状況

帰国後の学校としては、国立、公立、私立のいずれかの学校を選択することになります。

2015(平成27)年度間に帰国して公立学校に入学・編入学した児童生徒は、表の通り全国平均で、小学生が94.0%、中学生が65.9%、高校生が31.4%と、中学校・高校に進むにしたがって減少し、私立学校を選択する割合が増加しています。この傾向は、首都圏や関西圏ではより顕著に見られますが、中京・東海圏、中国・九州圏では、中学校・高校でも公立校に入る生徒の割合が高いです。

小学校の学校選択

前出の学校基本調査の結果から見てもわかるように、小学生の場合は、帰国してから公立の小学校に入学・編入学する子どもが多いです。

帰国後の住居が決まっていないご家族から、「帰国生の多い公立小学校はどこですか」という相談が多く寄せられます。海外から帰国してきた児童生徒や外国人児童生徒を対象に、日本語指導や未学習教科の補習を行う適応教室を特定の学校に設置している地域も一部にはありますが、多くの地域では帰国生が在籍する学校は散在しています。

帰国生がほとんどいない学校であっても、担任の先生をはじめ学年主任、校長先生などに海外の学校で受けた教育方法・指導方法の特徴を説明し、異なる教育環境で育ったことを理解してもらうことが日本の学校への迅速な適応につながります。日本語の遅れが心配な場合は、特別な指導を受けられる場合もありますので、学校に相談してみてください。

国立大学の附属小学校のなかには、帰国児童の教科の学習の回復と学校生活への適応を目的に、一般学級とは異なるカリキュラムを用いる学校や、一般学級での混入方式で個々の子どもの状況に応じた指導を行う学校があります。ただし、いずれの学校も通学区域や通学時間に制約があります。

私立小学校では国際学級を設けている学校もありますが、一般学級での混入方式による指導を行う学校が多いです。私立小学校の多くが一学年から英語の授業を実施しています。なかには、英語のレベルに応じて英語力の保持・伸長に努める学校や英語によるイマージョン教育を行っている学校もあります。

中学校・高校の帰国生受け入れ校とは

入学後の受け入れ体制や、入学・編入学試験での方法において、帰国生に対して特別な配慮をする学校は「帰国生受け入れ校」と呼ばれています。

帰国生受け入れ校のなかには、帰国生だけの特別クラスを設けている学校もありますが、多くは一般生と同じクラスに受け入れて指導します。日本の教科学習の未習熟な部分に関しては、必要に応じて放課後等に個別指導を実施する学校が多いですが、習熟度別クラス編成により、全生徒を対象に個に応じた指導を行っている学校もあります。

帰国生の特性の伸長をはかるために、英語力が高い生徒には別枠の授業を行っている学校も多く見られます。また海外への大学進学を視野に入れて、英語以外の数学、理科、社会等の教科を英語で学ぶコースを設けている学校や、帰国生に限らず全校生徒が英語を使って情報を発信し、グローバル化社会に対応したコミュニケーション力を育成することに重点を置いている学校もあります。

このほか、ユネスコスクールに加盟している学校、文部科学省からスーパーグローバルハイスクール(SGH)やSGHアソシエイトに指定されている学校、国際バカロレア(IB)のカリキュラムを導入している学校もあります。帰国生受け入れ校というと、外国語教育に特に重点を置いていると思われがちですが、理数教育に力を入れ、課題発見力や問題解決力、論理的思考力を伸ばしている学校もあります。

このように帰国生受け入れ校といっても、各学校の教育方針は異なり、入学後の受け入れ体制もさまざまです。

「第8回 〜帰国生受け入れ校の選び方〜〈後編〉」を読む。

今回の相談員
教育相談員
植野 美穂(うえの みほ)

東京学芸大学附属高等学校大泉校舎開設以来、数学の教師として帰国子女教育に携わる。同大学附属国際中等教育学校の開校に開設準備室長としてかかわり、2007年から同校教諭。09年より海外子女教育振興財団の教育相談員。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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