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日本に住む親の相続時の財産の探し方
- 2021年11月20日
日本に住む親が亡くなり相続が発生した場合、気になるのが相続財産の内容です。すでに親から財産の情報を入手または情報の保管場所を聞いていれば、これからその内容を確認すれば良いだけなのですが、「いずれそのうちに……」などとまだ済んでいなければ、相続が発生した時に急いで探さなければなりません。それが海を隔てた日本に住む親のこととなれば、さらに大変です。日本に兄弟姉妹がいて調査を頼めれば良いですが、いなければ相続だけでなく葬儀関連の手続きを含め、慌ただしく来日手配から始めなければなりませんね。
1.まずは自分で調べる
子が将来苦労しないよう、親があらかじめ財産に関する情報やエンディングノートなどを作成していてくれれば助かりますが、そうでない場合、相続人(配偶者、子など)は自分で調べなければなりません。
まずは親が保管していた金融機関の通帳、郵便物、その他関連書類を探します。一般的には銀行、証券会社、生命保険会社、損害保険会社の口座になりますが、銀行の場合一つの銀行に複数の口座や貸金庫を保有していることもあるので、じっくり調べてみましょう。こうした預貯金以外にも、負債(債務)となるローン契約や金融機関以外の個人での金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)を結んでいる場合もあるので、十分に調査したいところです。
手がかりとなる金融機関からの郵送物などが見つかったものの、口座番号やキャッシュカードが見つからない場合は、金融機関に事情を説明して口座の有無を確認してもらえるか直接問い合わせてみましょう。
2.新たな契約照会制度
そうした中、生命保険協会では「生命保険契約照会制度※1」を今年から始めました。これは相続が発生した場合や、認知症など加入者本人の認知能力が低下した時に、家族からの依頼で協会が各生命保年会社に契約の有無を調べてくれる制度です。利用料は1回3000円(税込)で、利用の際は本人との関係を証明する戸籍謄本や死亡診断書(コピー)などが必要です。
また、証券業界においては、どこの証券会社に口座があるかを調べてくれる制度※2があります。これは証券保管振替機構を通じて各証券会社へ照会をかけるものです。開示請求の費用は本人の場合は4400円、相続人の場合は6050円(ともに税込)となります。ただし、対象は上場株式などの口座のみとなります。
生命保険契約照会制度、証券口座の確認制度とも調査に2〜3週間ほど時間がかかるので、相続手続きなど時間的制限がある場合はスムーズな手配を心がけたいものです。
3.デジタル資産の取扱い
デジタル資産といっても明確な定義があるわけではありませんが、一般的にはパソコンやスマートフォンに含まれる個人のデータをいいます。この場合、こうした機器を利用するためのパスワードやロック解除番号と、金融機関等のオンラインシステムにログインするためのユーザIDやパスワードが必要となるため、本人以外の人がアクセスするのは容易ではありません。
これらのデジタル機器で管理するもので郵送物等書類が一切ないものについては、内容を把握するのはかなり難しい状況です。できるだけ親と生前からよく話し合って、そうしたデジタル機器で管理している財産があれば、後で分かるようエンディングノートなどへ残しておくようにしたいものです。
なお、スマートフォンの利用者が死亡した際、ロック解除番号が分からない場合に注意しておきたいことがあります。毎月の使用料が発生するため早めに解約手続きをしたほうが良いと家族が判断するかもしれませんが、財産に関する情報の手がかりがスマートフォンに含まれているかもしれません。時間をかけてロックの解除を試みたうえで、中身を確認してから解約手続きをしたほうが良い場合もあります。その際、スマートフォンのロック解除は容易ではありませんので、専門業者を探して相談することも選択肢の一つとして考えて良いでしょう。
いかがでしょうか? デジタル資産のところでも述べましたが、財産探しで残された家族が苦労しないよう、早い機会に家族間で話し合いを行うか、エンディングノートなどに情報を残しておくことをおすすめします。
※1:生命保険契約照会制度
https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/
※2:証券保管振替機構の開示請求制度
https://www.jasdec.com/system/less/certificate/kaiji/index.html
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