HORIBA Instruments Incorporated
アメリカのビジネスは、今

今、アメリカのビジネスシーンはどうなっているのだろう?
困難をどう乗り越えたのか。成功の鍵はどこにあるのか。
キーパーソンに、アメリカでのビジネスのヒントを聞いた。

Horiba
カリフォルニア州アーバインにオフィスを構えるHORIBA Instruments IncorporatedのPresident&COO 東野敏也さんに話を聞いた。

ビジネス内容

弊社は分析・計測機器メーカーとして、はかる技術を通して様々な事業を展開しています。HORIBA Instruments Incorporatedとしてオペレーションしているのは北米で主要10拠点、カナダで2拠点、南米ブラジルで2拠点の計14拠点です。

アメリカでの創業は半世紀近く前に遡ります。1973年に米国で100%子会社の「ホリバ・インターナショナル」を設立し、同社の排ガス測定装置は米自動車大手のフォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)に採用されました。それを見た日本の自動車メーカーは米大手自動車メーカーで使われている製品が「日本のHORIBA」であることを知り、それから日本の自動車メーカー各社に同社の製品を使って頂けるようになりました。1975年には環境保護庁(EPA)に堀場の製品が納入され、これにより日本だけでなく欧州メーカーへの納入も加速しました。当時、米国に輸出していた世界各国の自動車メーカーは同じシステムで事前測定を行い、規制をクリアしたかったことが背景にあります。

現在は、自動車、環境、医用、半導体、科学と大きく分けて5つの事業を展開しています。自動車産業の中心地であるミシガン州に自動車部門、石油化学プロセス事業を主体に注力している環境部門はテキサス州、医用は本社がある南カリフォルニア、半導体は北カリフォルニア、科学はライフサイエンス事業が盛んな東海岸ニュージャージー州に拠点を構えております。

普段弊社の製品は直接消費者の目に触れる機会は少ないですが、生活の中の身近なものに使用されています。例えば、スマートフォンのCPUやメモリーといった、電子デバイス部品を作る過程で必要となる気体と液体の測定に使用される流体制御、及び計測機器。また、ディーゼル車の排気ガス問題が記憶に新しいと思いますが、そこで使用されていたのは弊社の排気ガス成分分析装置です。自動車に搭載し走行しながら計測することができるユニークな製品です。

HORIBAの創業製品である、国産初のガラス電極式pHメー

日米のビジネスの違い

私自身は半導体事業部門のキャリアが長く、日本に住みながら、半導体の生産拠点が集約しているアジア諸国と最先端開発拠点であるアメリカへ頻繁に出張していましたので、アジアとアメリカという切り口で見ると大きな違いを感じます。

一言で言いますと、アメリカは効率重視でロジカルシンキング。ミーティングをするときも、ミーティングの目的と結果をクリアにし、きっちり解析して成果を出すことが求められます。一方アジアは、人と人とのつながりを重要視します。さらに、早く結果を出すことが求められます。そして、日本はこの2つの中間だと感じています。これは私見ですが、半導体業界で日本企業が活躍している背景には、日本が地理的にも文化的にもアジアとアメリカとの間の中立な立場であるからではないかと考えています。アメリカからするとアジアの各半導体工場の生きた、最新情報が欲しい、アジアはその逆でアメリカの最先端の情報を欲しています。地理的にも文化的にも中立な立場で両者の情報を持っているうえ、両者とつながりがあるという優位なポジションが、日本企業が活躍している背景ではないでしょうか。

世界から見た日本

先日、ラスベガスで開催されていた世界最大のコンシューマ・エレクトニクスショーでも感じましたが、中国・韓国企業の台頭が著しく、他国のスタートアップ企業の勢いに比べると日本企業の存在感は希薄となってきていることに危機感を感じます。もちろん、材料関連、生産設備、製造装置メーカーなど世界一の技術を持っている企業はたくさんありますが、最終完成品となると日本企業の競争力は落ちてしまっているのではないかと危惧しています。少し前までは、日本といえば技術が高い、その技術を吸収したいという思いを持っている方が多かったですが、今は日本の技術が飛び抜けて優れているといえる時代とは言えず、潮目の変わりつつあるターニングポイントです。従来の延長線上ではなく、新しいことにチャレンジし続ける必要があると感じています。

進出したい方へのアドバイス

「健康第一」これは基本条件です。出張でもプライベートでの旅行もそうですが、国土の広いアメリカでの移動は長距離になる上、国内の時差もあります。体力勝負であることを身にしみて感じていますね。もう一つは「準備」です。効率を求められるので、与えられたアサインメント以上のアウトプット、100点ではなく120点を目指す必要があります。そのためには準備が大事です。具体的には現場を見る・知るということ。インターネットで様々な情報が入手できる時代ですが、やはり百聞は一見にしかずで、机上で身につけた知識だけでは分からない、実際に感じたことが最も役に立ちます。様々な応用問題に対応するための多くの引き出しを持っておく必要がありますね。

pHや水質の成分を測る装置
コンパクトメータ・水質分析計 「LAQUAtwin(ラクアツイン)」

今後の展望

HORIBAの社是である「おもしろおかしく」を基盤とし、全社員がひとつのチームとして交流をしていくことでお互いの知識を共有し、知恵を積み上げれば、会社全体の底上げが図れるのではないかと思います。縦割りの事業形態が基本の米国企業で、各事業が交流できるような仕掛け作りは課題でもありチャレンジでもありますが、これができれば成長スピードはさらに上がると考えています。そして長期的には、分析・計測機器業界でアメリカの名だたる企業と肩を並べ、一目置かれる存在となる日本企業へと成長、発展するべく努力していきます。

HORIBA Instruments Incorporated

■ホームページ:www.horiba.com
■住所:9755 Research Drive, Irvine, CA 92618
■電話:800-446-7422

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