米国大手会計士事務所・所得税担当者監修
個人所得税申告書の作成ガイド2018

文/小原万志(Text by Kazushi Obara)

今年も税務申告の季節がやってきた。今回はトランプ税制改正にともない変更点が多くあるため、詳細は専門家に相談することをおすすめする。英語で書かれた税務申告書(Tax Form)とその解説書(Instruction)を読むのは大変だが、本特集ではこの税務申告書を日本語で解説。

本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040」を自分で作成できるようにステップを示し、並行して税務申告書に記入していけるように項目順に説明している。

2018年トランプ税制改正の主な項目は以下のとおり。税務申告書を作成する前に読んでおこう。

1.個人税務申告書Form 1040を簡素化、新たに様式のSchedule 1から6が追加され、申告内容に応じて記入することになった。なお、一般の税務申告書用紙はForm 1040のみとなり、従来のForm 1040EZ、Form 1040Aは廃止された。
2.税率の引き下げ
3.人的控除の廃止および定額控除の倍増
4.扶養子女税額控除の引き上げ
5.項目別控除の変更
6.適格事業所得控除の新設
7.オバマケアのペナルティ廃止

1 申告の手順

ステップ① 準備、確認事項

それぞれに必要な所得、控除の書類、税務申告書と解説書を準備する。

配偶者と夫婦合算申告を行う場合は、配偶者や扶養者各自がソーシャル・セキュリティ番号(SSN)または米国納税者番号(Individual Taxpayer Identification Number = ITIN)を取得する必要がある。ソーシャル・セキュリティ番号は、Form SS-5(SSN申請書)と必要書類をSocial Security Administration事務所に提出して申請する。ソーシャル・セキュリティ番号を取得できない配偶者や扶養家族は、税務申告書提出時にForm W-7(ITIN申請書)を添付して米国納税者番号を申請する。申請方法についてはステップ④を参照。

豆知識

•2017年より自分の申告記録をIRSから入手するための本人確認方法として、新たにPINは発行せず、前年度の調整後所得金額または前年度に選択したPINを使用することを義務づけている。
•IRSのオンラインアカウントにアクセス:身元を認証する必要がある。連邦税のアカウントに安全にログインするには、IRS.gov/Accountにアクセスすること。オンラインで税務記録にアクセスすることもできる。
•申告義務の要件は、居住者の場合、全世界で一定額以上の所得があること。金額は、申告資格(Filing Status)および年齢により異なる。たとえば、2018年12月31日時点で夫婦双方が65歳未満であれば、夫婦合算申告をする場合は2万4000ドル以上、夫婦個別申告をする場合は5ドル以上の所得があると申告義務がある。
•扶養控除の対象となっているこどもでも、ある一定の所得がある場合は、単独で納税者として申告する必要がある。
•Form W-2や Form 1099の書類は、翌年の1月31日までに支払人から個人に発送される。

ステップ② 税務申告書への記入

解説書と本特集の「所得税申告書の作成」に従って、税務申告書を記入する。IRSのウェブサイトからオンライン上で申告書への情報記入も可能。

ステップ③ 必要書類の添付

税務申告書の1ページ目にForm W-2を必ず添付する。その他のForm(Form W-2GやForm 1099-R)は、源泉徴収されている場合のみ添付する。夫婦合算申告や納税者番号を取得する必要がある場合は、税務申告書にForm W-7とパスポートの原本もしくは旅券所持証明書を添付し、税務申告書提出時に申請する。その際、税務申告書の郵送先は通常と異なり、テキサス州のITIN Operation Centerとなるので注意が必要。税務申告書で報告した所得や控除の証拠書類を税務申告書に添付する必要はないが、のちにIRSからの質問や調査があった際に備えて保管しておくこと。

豆知識

• 配偶者およびこどもの米国納税者番号の申請の際には、パスポートまたは旅券所持証明書の提出が必要。
• 旅券所持証明書は、在米日本国大使館または総領事館で取得できる。在住の地域を管轄している在米日本国大使館または総領事館は、以下のサイトで確認。
http://www.us.emb-japan.go.jp/j/kankatsu.htm
• IRS Taxpayer Assistance Centerへ直接出向いてパスポートの認証をしてもらうことも可能。IRSに出向く際には完了した申告書持参も必要。諸条件を満たせば、IRSのAcceptance Agentを通して米国納税者番号を取得することも可能。
• 日本では、在日米国大使館または総領事館で取得できる。事前に在日米国大使館または領事館のサイトで予約が必要。
• 米国納税者番号を2013年1月1日以前に取得、または過去3年間連続して税務申告書に記載しなかった場合は、更新義務が必要となる。

ステップ④ 税務申告書提出

2018年分の税務申告書の提出期限は、2019年4月15日(月)となる。 なお、メイン州またはマサチューセッツ州に住んでいる納税者は、祭日の関係で4月17日(水)となる。同日までに税務申告書を提出できない場合は、Form 4868を提出することにより申告期限を6カ月延長できる(延長手続き後の提出期限は、2018年分は2019年10月15日(火))。税務申告書に納税者本人の署名(夫婦合算申告の場合は配偶者の署名要)と日付を入れ、所轄するIRSへ郵送。郵送先は税務申告書解説書で確認。税務申告書提出時に米国納税者番号を申請する場合は、Form W-7を税務申告書に添付して右欄の住所に郵送する。郵送手段により郵送先住所が変わるので、注意が必要。

USPSを利用する場合
Internal Revenue Service
ITIN Operation
P.O. Box 149342
Austin, TX 78714-9342

USPS以外のPrivate Carrier(Fedex等)を利用する場合
Internal Revenue Service
ITIN Operation
Mail Stop 6090-AUSC
3651 S. Interregional, Hwy 35
Austin, TX 78741-0000

豆知識

• 4月15日が週末や祝日となる場合は、次の事業日が申告締切日になる。締切日の消印が有効となる。
• 国外から送付する場合は、期限までにアメリカのIRSに必着。
• 税務申告書を郵送する場合で、特に税金の追加支払いを必要とする場合は、提出遅延、支払い遅延に課せられる罰金と利子を回避するため、Certified Mail(書留郵便)を利用することをおすすめする。
• 延長手続きをした場合、税金の支払期限は当初の申告締切日となる。多額の納付が遅れると、この延長も無効となる。

ステップ⑤ 書類の保管、修正申告、税務調査

税務申告書の作成に使った書類は、所得や控除の証拠書類として最低でも時効が成立する3年間は保管が必要。IRSはこの期間に手紙で税務申告書について問い合わせをしたり、調査官による税務調査を行ったりする。申告内容の立証責任は納税者側にあるので、納税者が申告内容を証明できない場合は、控除が否認されて追徴税や利子、ペナルティの対象になることもある。

豆知識

• 無申告年度や不正、虚偽申告年度には時効が適用されない。
• 総所得の25%を超える過少申告がある場合、時効は3年から6年に延長される。
• 賃貸不動産や証券の購入価格など、減価償却や将来の課税所得の計算に必要となる書類は、同資産を保有している限り保管する必要がある。

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