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【ニューヨーク不動産最前線】
法改正により「第三者機関の保証人制度」が注目
- 2019年10月24日
7月の記事で、今年の6月からニューヨーク州の不動産賃貸に関する法律が変わったとお伝えしましたが、今回はその続きです。いくつかある改正点のなかで特にインパクトが大きかった、敷金の上限設定(家主がテナントから預かる敷金の上限を家賃の1カ月分相当までとする)ですが、心配していた通りマーケットに影響が出ています。この新法の解釈は実は専門家の間でも意見が分かれています。上限設定が適用されるのは敷金のみだと解釈する派と、家賃も敷金同様に上限が適用されるとする派がおり、グレーゾーンとなっているのですが、新法が浸透するにつれて、家賃も最大1カ月分までとするオーナーが大半を占めるようになってきました。
それまでは、米国での雇用証明や収入証明が出せない学生や外国企業からの派遣員、もしくは収入の少ない人たちには、用意できない書類を補填するために契約期間内のレントを全額前払いしたり、敷金を数カ月分積み増ししたりすることでオーナーやビルの入居審査にパスするという逃げ道が用意されていました。今回の法改正でそれができなくなったことにより、一気に物件を借りられなくなる人が出てきてしまいました。
前払いのほかには、保証人を付けることで審査をパスするという方法もあるのですが、実は保証人になれる基準が厳しく(基本的に米国在住者で、年収が家賃の90倍以上)、米国に来たばかりで知り合いもいない外国人や学生にとっては保証人を探すのも至難の業です。
そこで注目され始めたのが、「第三者機関の保証人制度」です。運営しているのは民間企業で、テナントの保証人となってくれる会社です。このサービスは以前からあるのですが、手数料が結構高いので、前払いを選ぶ人が多い状況でした。しかし、法改正で前払いが禁止となってからは利用者が急増しています。フィーを払っても、ほかに方法がなければ背に腹は代えられない状態です。
第三者機関の保証人会社の仕組みは、保証人会社の定める基準を満たせば保証人になるというものです。ただし、その基準が結構厳しく、英文での自国の口座残高証明書(家賃の80倍相当以上の残金が必要)、もしくは収入証明書(年収が家賃の50倍必要)、とハードルが高いのです。この条件を満たさない場合は、フィーのほかに余分に1~3カ月分相当の敷金を要求されます。要はお金がかかるのです。ちなみに、保証人会社へのフィーは家賃の1カ月分相当が相場です。
ニューヨーク州がこの新法を施行したのは、物件賃貸時にかかる初期費用の上限を設定して、そもそもテナントの負担を減らすというのが目的でした。しかし実際には前払いを閉ざされたテナントは、アパートを借りるためには保証人会社を利用するしか道がなくなってしまいました。余分にフィーを払うことになってしまい、テナント保護どころかまったくの逆効果です。ちなみに、第三者保証人会社に保証金を預けた場合は、アパートの賃貸期間終了後にテナントに返却されます。
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