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XLsoft Corporation
アメリカのビジネスは、今
- 2019年4月4日
今、アメリカのビジネスシーンはどうなっているのだろう?
困難をどう乗り越えたのか。成功の鍵はどこにあるのか。
キーパーソンに、アメリカでのビジネスのヒントを聞いた。
カリフォルニア州アーバインに拠点を構えるXLsoft CorporationのCEO 西伸顕さんに話を伺った。
米国での事業内容
ソフトウェアのディストリビューションを主軸のビジネスとし、米国のみならず世界中から仕入れたソフトウェアの日本やアジア向けの販売を手がけるのと同時に、日本のソフトウェアメーカーの米国を含むグローバルでの販売も行っています。
設立は1987年。現在はカリフォルニア州アーバインを本社に、日本にも営業拠点を持っています。設立当初は米国のソフトウェアを日本語の環境に適応させるといったローカライゼーションをメインで行っていたのですが、Windows3.0の登場に合わせ様々なソフトウェアが誕生したこときっかけに、米国のソフトウェアの日本向けのディストリビューションをスタートし、現在のビジネススタイルに至りました。
米国では、ディストリビューターとして開発元との窓口を担当したり、製品のマーケティング、ローカライゼーション、テクニカルサポートや製品調査を行い、日本側では販促、営業活動やカスタマーサポートとしてお客様、流通販社などパートナーとの窓口を担当しています。取り扱っている製品は英語のソフトウェアが多いので、セミナーの開催や展示会への出展を通し日本語で分かりやすく説明する機会を設けています。最近ではブログを開設し、日本語でリーチできるお客様向けに各製品担当が情報発信を行っています。
取扱製品について
主に開発者やIT管理者向けのソフトウェアを取り扱っているので、一般の方にお目にかかる機会は多くはありません。
具体的な製品としては、インテル CPU 上でより良いパフォーマンスを得られるようにソフトウェアを最適化する開発ツール「インテル Parallel Studio」が人気商品です。例えば、有名国立大学や行政の研究機関などで、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)という巨大システム上で動作するソフトウェアをいかに早く動かせるかという点で重宝していただいています。また、グローバルでも4社のみのインテルソフトウェア開発ツールのマスターディストリビューターとして、弊社は日本市場を任されています。
身近なソフトウェアとしては、Pokemon Go で注目を浴びた AR アプリを開発する Kudan AR SDK などもあります。本製品に関しては、米国、日本を含めグローバルでの販売を展開しています。
世界のソフトウェア市場
ソフトウェアマーケットは世界的にみてもやはりアメリカが力を持っていますが、北欧は優秀な開発者の方が多いですし、IT産業が盛んなイスラエルも強い市場です。弊社が扱っている製品も、アメリカ、オーストラリア、イスラエル、チェコ、日本など世界各国から仕入れています。
近年は新興ソフトウェアベンダーが資金調達のためにシリコンバレー近郊やサンフランシスコでスタートアップを行い、アメリカで成長し、次のステップとしてアジアや日本市場など世界に進出するケースが多いですね。
日米のビジネスの違い
開発の思考の違い
アメリカと日本のソフトウェアの開発スタイルには違いがあります。アメリカは社内に開発部隊を持ち、その中で必要なツールを調達するため、ベンダーと直接やり取りや購入が発生する場合が多いです。しかし、日本の場合は販社や開発会社など、メーカーとエンドユーザーの間に何社も入るスタイルですので、米国のメーカーに理解してもらうのには苦労します。ですが、そこを納得してもらうように説明するのも、弊社の使命だと思っています。やはり為替の問題や日本の会計システム、日本語でのカスタマーサポートを必要とするお客様が多い状況を考慮すると、海外ベンダーとの間に入ってのサポートが求められますね。
時差
世界中から製品を仕入れているので、米国西海岸を拠点に東海岸、ヨーロッパのベンダーとやり取りする場合は午前中に仕事を終わらせる必要がありますし、逆に日本から連絡が来る際はこちらの夕方から夜、さらにアジアやインドの場合は真夜中になります。24時間世界のどこかから連絡が入っている状況ですね。米国は国内だけでも時差があるので、タイムマネジメントをしっかりと行えるスキルが大切です。
米国進出者へのメッセージ
日本語でも英語でも持っているスキルは活かせると思います。スキルというのは言語や国は関係がなく、それをいかに上手に活かすかということではないでしょうか。例えば、日本語でコミュニケーションが取れる方は英語でもしっかりコミュニケーションが取れますし、PCに精通している方はアメリカでもその能力は変わりません。日本にいる間に確固たる能力を身に着けて、それから世界に羽ばたけば可能性が広がると考えています。
今後の展望
マーケティング、製品、サービス、全てにおいて新しいものにチャレンジしていく。製品も移り変わりが激しいので、急に伸びる製品もあれば取り扱いがなくなる製品もあります。また、無償化やオープンソース化、クラウドサービス、サブスクリプション販売など、ソフトウェア業界も変化を遂げている時期ですので、変化に対応し、常に更に新しいものに挑戦していきたいですね。
XLsoft Corporation
■ホームページ:www.xlsoft.com
■住所:12 Mauchly, Building K, Irvine, CA 92618
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