【ニューヨーク不動産最前線】
オーナー(テナント)保険について

入っておくべきオーナー保険

マンハッタンを歩いていると、常時救急車と消防車のサイレンを耳にします。残念ながらもう、生活音の一部のようになっています。ときどき(というかかなりの頻度で)実際の火災現場にも遭遇します。これだけ人口が密集していると、いつも何かしら事件、事故が起こっているのですね。

ニューヨークのアパートでは、オーナー保険に加入するのが一般的です。部屋を借りている場合はテナント保険とも呼びますが、同じものです。いずれにしても、居住しているアパートに対して保険に入ります。基本的には任意なのですが、最近はオーナー、テナントにかかわらず居住者に対して加入を義務付けているビルも多く、部屋の購入、賃貸のボード審査の時に保険の加入証明書を提出させられるケースが増えています。

部屋を借りている立場のテナントにとっては、オーナーが保険に入っているのだから自分は入らなくていいと考える方もいるようですが、損害や事故の種類によってはオーナーの保険だけでカバーしきれないケースもあり、かつ、ことが起こった時にスムーズに解決するためにもやはり保険は必要です。

オーナー保険の補償とは

オーナー(テナント)保険は総合的な補償が含まれていて、一般的に想定される水漏れ(ほかの部屋からのものも含む)や火災に加え、家具や貴金属等のパーソナルプロパティに対する補償、怪我等をした時の補償も含まれます。たとえば、お客さんが部屋の段差につまずいて転んで怪我をした時の治療代等も含まれます。

保険には基本的なセットのようなものがあり、高額な絵や貴金属を持っている人は、特別にパーソナルプロパティの補償額を増やしてカスタマイズできます。ビルの規模や設備、ドアマンの有無等によっても若干保険料が違うようですが、基本のセットだと年間で300ドル程度からとそんなに高い金額でもないので、ビルの方針にかかわらず保険に加入するのはおすすめです。

実際に私のアパートも、寝ている間に動かしていた食洗器から水漏れしていて、朝起きたらキッチンとリビングルームが水浸しになっていたことがありました。下の部屋にもご迷惑をおかけしてしまって……。結果、リビングルームの床を全部張り替えることになったのですが、保険がカバーしてくれて、かつ下の部屋との交渉も保険会社同士でやってくれ、保険に入っていたおかげでとっても助かりました。

お客さんのアパートでも、自室・他室を問わずトイレやバスルームの水の被害をときどき見聞きします。長期で暮らしていると、予想外のことが起こるものですね。

加入手続きはとても簡単で、保険代理店に直接電話かメールで「オーナー(テナント)保険」に入りたいと言えばすぐに見積もりを送ってくれます。英語の不安な方は日本の保険代理店もあります。

※オーナー保険に関する詳細は専門店にご相談ください。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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