〔ミャンマー〕アマタ会長=日系をミャンマーに誘致したい

アジア発の有効なビジネス情報を手軽にキャッチ!

タイの工業団地開発大手アマタ・コーポレーションのウィクロム会長は、ミャンマー最大都市を抱えるヤンゴン管区で新たに開発する「ヤンゴン・アマタ・スマート&エコ・シティー」に、日系企業を数多く誘致する意向だ。訪問先の首都ネピドーで24日、NNAなどとのインタビューに応じた。

アマタ・コーポレーションのウィクロム会長は、「ヤンゴン・アマタ・スマート&エコ・シティー」への日系企業誘致に自信を見せた=24日、ネピドー(NNA)

アマタがタイとベトナムの計5カ所で展開する工業団地の入居企業1300社のうち、日系は700社。「アマタに進出した日本企業の98%は成功している。多くの日系を連れてきたい」と語った。タイと日本の親和性に加え、親日的なミャンマー人の国民性もメリットとして挙げた。

食品や輸出産業に期待

ミャンマーで特に日系企業に期待する分野として、第1に豊富な農業資源を生かした食品産業を挙げた。第2に、生産コストの低いミャンマーで、内需および中国南部、インド、バングラデシュ市場を開拓することを推奨した。「日系企業は、50〜60年前からタイで生産した製品を現地や周辺国で販売することに成功してきた。同じコンセプトを持ち込めばよい」

第3が、タイ東部チョンブリ県レムチャバン港などを経由して、米国や欧州へ出荷する製品の生産だ。米国の保護主義的な姿勢がさらに強まった場合でも、「国内総生産(GDP)がまだ小さいミャンマーは、米国と関税の問題を抱えることはないだろう」と予測した。

ミャンマーでの開発を決めた理由として、日系誘致への期待のほか、隣接する中国の製造コストの上昇や、米中貿易摩擦および巨大経済圏構想「一帯一路」を背景とした、中国から大メコン圏(GMS)への生産移転の動きを挙げた。特にミャンマーはインド洋に面し、「GMSの西の玄関口」であることを評価しているという。中国が推進する西部ラカイン州のチャウピュー深海港の整備についても、「われわれにとってもよいことだ」と歓迎する姿勢を示した。

アマタは、向こう5年程度かけて第1期2000エーカー(約800ヘクタール)を整備する。エコ・シティー開発自体の投資額は2億7000万米ドル(約295億円)だが、関連事業も含めれば総額10億米ドルに上る。ウィクロム会長は、ミャンマーで大型開発を進める上での課題として◇インフラや公共サービスの未整備◇ミャンマーに対する国際社会からの政治的な批判◇未熟な労働力——を挙げた。

アマタは2017年にヤンゴン・アマタ・スマート&エコ・シティー開発に向けた調査に入ったが、「当初はミャンマー側の準備ができていなかった。インフラや公共サービスが整っていなかった」。電力については、タイ国営石油PTTが出力600メガワット(MW)のガス火力発電所を建設し、エコ・シティー内外に送電する。また情報通信インフラでは、KDDIミャンマーが協力する。

イスラム教徒少数民族ロヒンギャに対する迫害をめぐり、欧米などはミャンマー政府を非難している。ウィクロム会長は、「持続的な成長のために、ミャンマーの指導者も投資を求めている」として、政府が国際社会からの批判に対応するとの考えを示唆した。また、熟練労働者の育成に向けては、外部の職業訓練校と提携するという。

情報提供:株式会社NNA

アジア13カ国の拠点から、毎日300本の記事を有料で配信。現地の生きた経済・ビジネス情報を日々、素早く手軽にキャッチできる。現在7000社、約1万6000人のビジネスパーソンが活用。

https://www.nna.jp/club_contents/index

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

この著者の最新の記事

関連記事

資格の学校TAC
アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 2023年2月14日

    愛するアメリカ
    サンフランシスコの町並み 一年中温暖なカリフォルニアだが、冬は雨が降る。以前は1年間でたった...
  2. キルトを縫い合わせたような美しい田園風景が広がるグラン・プレ カナダの東部ノヴァスコシア州に...
  3. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  4. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
  5. 2022年12月9日

    住みたい国
    熊本県八代市の「くまモンポート八代」で 8月の終わりから9月中頃にかけて、私とニナは日本に飛...
  6. 2022年12月7日

    日常の些事
    冬の落ち葉 年齢を重ねると、だんだんと感動が薄くなるとはよくいわれる。ほとんどのことは過去に...
  7. 2022年12月6日

    美酒と器
    酒器の種類 酒器にはさまざまな素材、形のものが存在する。適切な器を選ばないとお酒本来...
  8. 契約上のトラブル 広範囲にわたる法律問題を扱う弊社にはさまざまなお問い合わせがありま...
ページ上部へ戻る