新しい断酒法? しらふの人生を楽しむSober Curiousが人気の理由

「なぜ」このツール、この方法、このタイミング?など、オンラインビジネスやデザインの世界を一歩踏み込んで考えます。

お酒をやめたい、でもしらふで会食に参加した時やお祝いごとの際にお酒がないなんてなんか味気ないし、二度と飲めないのはちょっと……となかなか断酒に踏み切れない方も多いと思います。

仕事で疲れた後の冷たいビールや、おいしい食事に合う高級ワインや日本酒、お祝いごとのシャンパンなどは格別ですよね。お酒を人生にポジティブに取り入れている方は、無理にお酒をやめる必要はないとは思いますが、健康上の理由などからやめたくてもやめられないという方に読んでいただきたい今回の記事です。

お酒のない人生ってどんな感じなんだろう? 二日酔いのない毎日ってどんな感じ? 友達と食事に行ってお酒を飲まない3時間って? なんでみんなで集まる時は必ずお酒があるんだろう? お酒は社交の円滑油だし、しらふで私へーきかな?—— そんなことを少しでも感じる方は、アルコールとの関係を見直すSober Curious(ソーバーキュリアス)になってみるのはいかがでしょうか?

ソーバーキュリアス・ムーブメントの火付け役である本『ソーバーキュリアス:至福の睡眠、集中力の向上、無限に今を感じること、深いつながり——お酒のある生活の反対側にあるもの』の著者いわく、「ソーバーキュリアスになるということは、何の疑問も持たずにお酒の文化に流されるのではなく、お酒に対する衝動や期待、招待に対して質問したり何でだろう?と考えること」だそうで、ソーバーキュリアスという文化自体は「しらふになる」というライフスタイルチョイスを応援はするものの、お酒を真っ向から否定したり、お酒の害を並べて恐怖心を煽るものではありません。まだお酒をやめたくない方もソーバーキュリアスになれるので、ソーバーキュリアス=断酒という究極の選択というわけでもありません。しかし冷静に深くよくお酒について考えると、お酒のない生活に魅せられ結果的に断酒という選択につながるそうです。

ミレニアルズを中心にNYやロンドンなどの都市でムーブメントとなっている背景には、野菜中心の食生活やヨガ、マインドフルネスの人気などにも見られるように、健康志向ブームがあります。若い世代においてタバコやお酒で自分の体を害するのはかっこ悪いし、今を100%楽しめないなんてもったいないと、ヘルシーに10代20代を謳歌しています。そんな若者をサポートすべく、ノンアルコールバーの軒数は全米で一気に増加し、Daybreakerといわれるお酒なしのクラブイベントも人気を博しています。

これまで、お酒が飲めない人はバーや居酒屋に行くと飲めるものが少なく肩身の狭い思いをし、限られたチョイスから飲み物をオーダーすると周りに何で飲まないんだ、と責められるというパターンだったナイトシーン。これに対し、お酒を飲めない人が楽しめる場所もあっても良いんじゃないかという思考から生まれたノンアルコールバーやクラブには、アルコールを含まないカクテルやKombuchaなどが豊富に取り揃えられ、しらふの若者たちが集っています(新型コロナウィルス発生前)。

Mat Snapp, beverage director of Fox Restaurant Concepts. FOX RESTAURANT CONCEPTS
『Beyond The Arnold Palmer: Intriguing Non-Alcoholic Drinks Are A Bar Trend For 2019』 on Forbes
https://www.forbes.com/sites/michelinemaynard/2018/12/16/beyond-the-arnold-palmer-intriguing-non-alcoholic-drinks-are-a-bar-trend-for-2019/#c25129913992

「よく考えたらおかしな話なんだけど、昔はお酒を飲まないって言うとみんな私を心配するの。どっか体調おかしいの?妊娠?って。さらに、飲めないなんてかわいそう、って」「お酒なしのデートなんて考えられなかったけど、冷静に考えてみたらそんな状態で交際相手を選ぶのっておかしいよね』とBBCのソーバーキュリアスの特集番組で回答している若者を見て、時代は変わったなあと感じました。おしゃれしてお酒を飲みに行くのが当たり前の楽しみ方だったSex And The City世代の私としては、アルコール無しで楽しめる選択が豊富にあるというのは羨ましい限りです。

お酒を飲むことが当たり前であるこの社会をさまざまな視点から考え直すSober Curious。特別画期的な方法でもないのにここまで受け入れられて浸透しているのは、インターネットによる情報の自由化も手伝っています。消費者が得たい情報を選択できる現代において、「お酒は人生において必要なもの」という概念を植え付ける手段が減っているといえます。映画で描かれたお酒のシーンやかっこいいお酒の広告など、お酒に対するイメージは限られたメディアを活用して資本主義が作り上げた幻想だった、と認識できる環境下だからこそ、Sober Curiosityに対して納得のいく結論が導けるようです。

禁煙セラピーで知られるアレン・カーの著書、禁酒セラピーにも同様の内容が書かれていますが、世の中のあらゆる情報源がお酒は良いものだと伝える中では、お酒に対する疑問を持つこと自体ナンセンスな気がしてしまう、そんな時代だったのかもしれません。

次回お酒を口にする前に、なぜ飲むのかをじっくり考えてみてはいかがでしょうか?

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Mieko Murao

Mieko Murao

ライタープロフィール

2001年株式会社グラフネットワーク設立。2011年に拠点をアメリカに移し、グラフネットワークアメリカ支社を設立。Web制作業務だけでなく飲食店の経営やプロデュースなどを経験し、企業や飲食店のバックエンドシステムの構築、アプリの開発など “よりビジネスを効率良く” するためのツールを企業の要望に応じて提供。多くの日系企業のIT化に一役買っている。子育てと仕事の傍ら、MITのIntegrated Design and Management修士課程プログラムにて、Human Centered Designを研究中。また、ボストンにて日本の生活用品を紹介し、新しい消費スタイルを提案するCrand and Turtleという小売店プロジェクトも展開している。

Graphnetwork, Inc. (USA) Founder, CEO
Graphnetwork, Inc. (Japan)  Co Founder, Former CEO
Crane and Turtle  Owner

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