交通事故
自動車保険の心得

情報提供/Kimura London & White LLP 木村ジョシュア弁護士

自動車保険への加入はアメリカのほとんどの州法で義務付けられていますが、the Insurance Research Councilの調査によると無保険車は全体のおよそ13%に上ります。つまり、相手の過失による交通事故で自分の車が大破したり怪我を負ったりした場合でも、10回に1回は相手が自動車保険に加入していない可能性があるということです。保険に加入していたとしても、州法で定められた最低限度額しか加入していない人は少なくありません。このような場合、自分には過失がなかったとしても、怪我の治療費や療養中の休業補償、弁護士費用に加えて精神的苦痛に対する補償などを、ご自身が加入している保険会社から受けることになります。

UM/UIM補償の違いと重要性

UMはUninsured Motor Vehicle、UIMはUnder Insured Motor Vehicleを意味します。UM補償とは、交通事故の原因が相手の過失であるにも関わらず、その相手が保険に未加入だった場合に補償を受けるための保険です。州によっては、過失のあるドライバーが加入している保険の補償額が州法に定められた最低限度額以下だった場合には同様に適用されます。UIM補償とは、過失のあるドライバーが車両保険には加入しているものの、支払われる額の上限では補償が不十分だった場合に不足額を補うための保険です。

州法で定められている車両保険の最低限度額は低く、カリフォルニアを含むいくつかの州では対人賠償責任保険の最低限度額が1名につき1万5000ドルというだけでなく、一つの事故につき3万ドルが上限です。多くのドライバーが毎月の保険料の支払いを抑えるために、最低限度額の車両保険を選択しています。しかし米国の医療費は非常に高額なため、そのようなドライバーの過失による交通事故に巻き込まれた場合には保険会社から支払われる補償では不十分で、治療費が自己負担となる可能性が生じます。弁護士を雇って相手を訴え正当な補償を求めたとしても、相手が資産を持っておらず支払い能力がない場合や、破産宣告を申し立てた場合にはどうすることもできません。

過去には事故によって後遺症が残る大怪我をして働けなくなったケースや、未成年者が死亡する事故の場合で相手に支払い能力がなく、最低限度額の1万5000ドルで示談を成立するしかないケースも実際にありました。UM/UIM補償は加入者自身を守るための保険であり、十分な額の補償に加入しておくことはとても重要なのです。

州ごとに異なる規程

UM/UIM補償に関する規程は州によって異なり、強制加入を基準としている州でも、書面で申請することで未加入を容認する州もあります。加入を義務付けている州でも限度額は車両保険の限度内に限られる場合がほとんどであり、さまざまな細かい規定も存在します。

もともとは人的事故を補償するためのものでしたが、州によっては物損事故による損害も補償の対象となります。ただし、通常は事故車は補償の対象ではなく、車以外の物に対する補償額も3500ドル程度にとどまります。

アンブレラ保険

その名のとおり、傘のように自動車保険やホーム・オーナーズ保険などの上に存在する保険です。万が一こちらが交通事故の加害者となり訴訟を起こされて賠償責任を負い、その額が自動車保険で補償できる額を上回った場合、アンブレラ保険が補償をします。たとえば自動車保険の補償額の上限が30万ドルの場合、それを上回る額の支払いが発生したとしても、自動車保険が30万ドルを支払った後で、アンブレラ保険が不足分を引き受けてくれるのです。

どのような場合にせよ、事故による怪我が生じた場合には保険会社から提示される補償額をすぐには受け入れず、無料相談などを利用して経験豊かな弁護士の意見を聞くことが重要です。

Kimura London & White LLP

交通事故などで怪我や後遺症を負った場合の保険会社との交渉や、円滑な相続のためのトラストや遺言の作成、契約やビジネス関連のトラブル解決等幅広い分野でリーガルサービスを提供。
Tel: 949-293-4939(日本語直通:みつだ)、949-474-0940(英語)
ホームページ: japanesespeakingattorney.com/(日本語)
       www.klw-law.com/(英語)

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