保存版! 米国就労H-1Bビザ 完全手引き書
- 2023年1月24日
今年もこの季節がやってきました。
そうです。来る3月のH-1Bビザ抽選開始に向けた準備時期ですね。
ハラハラした思いで、早速書類収集に取り掛かっている方もおいでなのではないでしょうか。
かつては「米国で働く際の王道」とも考えられていた「アメリカ留学→OPT→H-1Bビザ」というルート。
近年は取得がすさまじく難化していることはご承知の通りかと思います。
また年明け2023年1月4日にバイデン政権は、今年度の申請費用が例年の約1.5倍とすることを発表し、その敷居は高まる一方のよう見受けられます。
今回は、H-1Bのベーシックな情報から、2024年度枠の留意点や近年のリアルな現状に至るまで、一連の情報をご紹介していきます。
1. H-1Bビザとは
概要
まずは簡単に、H-1Bビザの概要を以下にてご紹介します。
- 最大の特徴 1:無作為の抽選に通過して初めて申請可能
- 最大の特徴 2:大学院以上の学位を有する方は有利(二度抽選のチャンスがある)
- 有効期間:最長6年(3年ごとに更新必須)
- 申請期間:3ヶ月〜6ヶ月
- 申請費用:$4,000~$6,000(弁護士費用含む)
- 転職:可能 ただし、転職先を通して再度許可を得る必要有
- 解雇:60日(グレースピリオド)以内に出国もしくは転職先へ移行完了必要有
- 配偶者:H-4ビザにて就労可
要件
H-1Bビザの発給を受けるためには、大きく以下の要件が求められます。
- 職種:特殊技能職(Specialty Occupation)であること
- 学位:学士号以上の学歴を有すること ※特例として職業経験の学位換算も可
- 上記の職務と学位が一致していること
専門分野での卓越性の立証が必要である為、「General Education(一般教育)」「Anthropology(人類学)」「International Studies(国際研究)」などの専攻は関連専門職が少なく、H-1Bビザ取得が難しい学部と言えそうです。
職種名で言うと、具体的には以下のような専門職があてはまるでしょう。
医者 弁護士 会計士 建築家 エンジニア プログラマー ジャーナリスト
科学者 リサーチャー 経営コンサルタント 金融アナリスト 等
2024年度枠の留意点
2024年枠(2023年申請分)は以下の通りの概要となっています。
2. H-1Bのリアルな現状
大筋が分かったところで、実際問題H-1Bの取得ってどんな感じ?という疑問にお答えしていきます。
上がり続ける取得の難易度
その他の選択肢であるLビザやEビザとは異なり、管理職以上という規制がなく新卒の方でも対象となるH-1Bビザ。故に「取得は簡単だ!」と認識されている方もいるようです。しかしながら、そうとは言い難い現実があります。
以下、過去10年の申請状況をご覧ください。
昨年は、選ばれし約6人に1人のみが申請するチケットを手に入れられたという高い倍率。
また申請権を得た後に厳しい審査が待ち構えているという点もお忘れなく。。こちらは後述します。
規定給与の上昇
先述の要項に加え、移民局が制定する給与額(Prevailing Wage | その専門職に適正・妥当と算定された賃金)の提示も必須となっています。この規定給与が近年上昇傾向にあり企業へも大きな負担となる為、申請を躊躇する雇用主が増えているのも現状です。
職種・地域により異なる為、気になる方はこちらForeign Labor Application Data Centerからぜひ調べてみては。参考までに、LAカウンティーの2ポジションを以下にてご紹介します。
カリフォルニア州ロサンゼルス群 Software Developer
0-1年の経験:$38.52 hour – $80,122 year
1-5年の経験:$49.30 hour – $102,544 year
5-15年の経験:$60.09 hour – $124,987 year
15年+の経験:$70.87 hour – $147,410 year
カリフォルニア州ロサンゼルス群 Financial Manager
0-1年の経験:$43.77 hour – $91,042 year
1-5年の経験:$60.54 hour – $125,923 year
5-15年の経験:$77.31 hour – $160,805 year
15年+の経験:$94.08 hour – $195,686 year
新卒でも日本円で1千万円を超えるお給与が求められていますね。
この金額を払える資金力のある企業は、決して多くないはずです。
大手企業の独占
以下は2022年のH1-B申請数の企業別ランキングと、そのトップ5企業の平均申請給与です。
一部の巨大企業により大量の請願が提出されており、独占されている状況が見てとれます。
抽選は無作為であること、また以下の通り、一企業あたりのH-1B従業員の割合が規定されていることから、チャンスは平等に与えられているはず。
H-1B依存企業の定義
・フルタイムに等しい従業員数が25人以下であり、そのうち7人以上がH-1Bビザ従業員
・フルタイムに等しい従業員数が26人以上50人以下であり、そのうち12人以上がH-1Bビザ従業員
・フルタイムに等しい従業員数が51人以上であり、そのうち15%以上がH-1Bビザ従業員
しかし、これらの巨大企業は母数がそもそも極めて多いわけですから、太刀打ちするのは難しいように感じてしまうのが正直なところですね。
ざっくりとした概要をご紹介させていただきました。細かい規定やその年毎の特性もありますので、申請を考えている皆様・企業様は、専門の移民弁護士様への相談をお勧めします。そして今年申請をされる方々、うまくいくことを心から願っております!
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