ビザ免除プログラムの改定

文/デビッド・シンデル(Text by David Sindell)

 皆さんの中には既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、米国政府は、2016年1月21日を開始日として、ビザ免除プログラムの改定を行いました。これは、昨年のビザ免除プログラムの改定及びテロリスト渡航防止法の施行を受けてのもので、下記に該当する人は、今後アメリカに入国の際は、ビザ免除プログラムではなく、B-1ビザなど、特定のビザを取得した上でのアメリカ入国が求められます(下記、日本などビザ免除プログラムの参加国籍であることを前提としています)。

 ● 2011年3月1日以降にイラン、イラク、スーダンまたはシリアに渡航または滞在したことがある人(ビザ免除プログラム参加国の軍または外交目的による渡航に対しては、限られた例外あり)
 ● 日本人などビザ免除プログラム参加国の国籍と、イラン、イラク、スーダンまたはシリアのいずれかの国籍の二重国籍をもつ人

 上記の該当者は、今後のアメリカ渡航の前に、アメリカ大使館・領事館にてビザ申請を行うようにしてください。なお、商用、医療、人道的理由などによる緊急の際は、アメリカ大使館・領事館による迅速な対応が期待できます。

 なお、イラン、イラク、スーダンまたはシリアへの渡航が下記の理由である場合など、国土安全保障省長官が法執行機関やアメリカの国家安全保障上の利益になると判断した場合には、上記の制限を免除する場合があります。

 ● 国際機関、地域機関、政府機関の代表として公務を遂行するための渡航
 ● 人道支援を行うNGOを代表して任務を遂行するための渡航
 ● ジャーナリストとして報道目的のための渡航
 ● 「包括的共同作業計画」(2015年7月14日)の合意後に合法的な商用目的のためのイランへの渡航
 ● 合法的な商用目的によるイラクへの渡航

 なお、これら免除を受けられるかは個別に審査されます。
 また、2016年2月18日付で、国土安全保障省は、イラン、イラク、スーダン、シリアに加え、リビア、ソマリア、イエメンの3カ国を該当国として追加すると発表しています。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

デビッド・シンデル (David Sindell)

デビッド・シンデル (David Sindell)

ライタープロフィール

NY州およびNJ州弁護士資格。外国法事務弁護士(外弁)として東京第2弁護士会所属。アメリカ移民法弁護士協会所属。日本語、フランス語に堪能。

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る