小売業界では、年末商戦の好調やオンライン販売の増加に伴って返品の量も増えている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、気に入らない、サイズが合わないといった理由で返却された商品は、アウトレット店、オンライン競売業者、フリーマーケット、中古品販売業者といった再販業界に格安の値段で流れて行く。コロラド州立大学のザック・ロジャーズ教授(事業運営・物流学)の調査では、2016年の小売業界の返品や売れ残り品は価格にして5540億ドルに上り、ここ数年は毎年約7.5%のペースで増加している。
小売り大手向けの商品処分サイトや競売サイトを運営するBストック・ソリューションズ(B-Stock Solutions、本社カリフォルニア州)のハワード・ローゼンバーグCEOによると、再販業者などいわゆるリバースサプライチェーン(逆方向の物流)業界が最も忙しいのは、年末商戦直後の1月と2月。全米小売業協会(NRF)が発表した17年の年末商戦売上高は11、12月合わせて約6920億ドルだったが、小売店の返品受け取りや再販を支援する物流会社オプトロ(Optoro、ワシントンDC)は、18年1、2月でこの約13%に相当する900億ドル分が返品されると予想する。
最も返品が多い商品はアパレルで、電子機器、化粧品、スポーツ・アウトドア用品と続く。ホリデーシーズンの返品の約半分は売り場に戻され、値引き価格で販売されるが、残りは商品の再販価値や季節に応じて様々な二次流通網で数カ月かけて販売される。
小売店が二次流通網でどれくらい損失を埋められるかは場合によってかなりの幅がある。店の売場に戻された商品は3割引で売られるかもしれないが、商品に傷があれば価値は大きく下がる。最も値引き幅が大きいのは返品された商品をまとめて売った場合で、捨てた方が安いこともあり、1年間に廃棄される商品は重量にして50億ポンドといわれる。
返品量の増加に伴い、Bストック、リクイデーション・コム(Liquidation.com)、バルク・コム(Bulq.com)のようなB2Bサービスを中心に、オンライン・リクイデーター(処分業者)も増えている。オンライン競売の売り上げは08年以降に68%増加しており、メーカーのアウトレット店や安売り雑貨店を通した処分品の売り上げ総額は2倍以上に増えている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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