米国の不動産業界で最近、議論の的となっている問題がある。それは、ウェブサイトに掲載されている物件写真が画像処理技術によって改ざんされているという事例が増えていることだ。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、写真加工(編集)に使われる技術は、ハリウッドの映画製作業界でも使われる最新の画像処理技術であり、写真と実物のあまりにも大きな差に愕然とする購入者も珍しくない。
物件を実際に内見することなく購入を決める人は意外に多い。低価格不動産物件仲介サイトのレッドフィン(Redfin)が物件購入者1463人を対象に2018年5月に実施した調査では、それらの約20%が物件を実際に見ることなく購入した。2017年の住宅購入ブーム期にはその割り合いは35%に達した。
物件写真の改ざんを商売とする業者も出現している。ボックスブラウニー(BoxBrownie.com)は、写真の改ざんを1枚1ドル60セントから請け負っている。壁の色替えの場合なら2.40ドル、床の変更は24ドル、64ドルも出せば部屋全体を加工する。同社はさらに、サンノゼ拠点の画像作成会社ルーミー(roOomy)のサービスを使って、仮想家具を部屋の写真に挿入する。ただ、ボックスブラウニーはそういった場合には、画像が合成であることを明記している。
一方、居住中物件のオンライン売買プラットフォームを提供するルーフストック(Roofstock)は、画像編集サービスを使うことで、よごれた食器や壁、床を新築のようにきれいに修正している。
それに対し、不動産物件画像の過剰加工をアルゴリズムで判別するサービスも登場しようとしている。その提供を目指すハウスキャナリー(HouseCanary)は現在、内装や家具類の画像が合成あるいは加工か、それとも本物かを見分けるために機械学習アルゴリズムを学習させている。
【https://www.wsj.com/articles/home-sellers-doctored-photos-challenge-buyers-bots-11551708001】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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