アップル、腕時計市場に参戦へ〜粗利益6割に期待
- 2013年3月7日
- 米国ビジネス
アップルが開発中と伝えられる腕時計型情報端末「アイウォッチ(iWatch)」が、年内にも発売されるとの見通しが浮上している。粗利益がテレビ市場を大きくしのぐ時計業界に参戦すれば、グーグルとの新しい闘いが始まりそうだ。
■もうけはテレビの約4倍
ブルームバーグ・ニュースによると、シティグループのアナリスト、オリバー・チェン氏は、2013年の世界の時計売上高を600億ドル以上と予測している。テレビと比べると小規模だが、時計販売の粗利益率は約60%といい、テレビのほぼ4倍に上る。
アップルでは現在、主力製品のアイフォンやアイポッドの販売が減速している。また、サムスン電子など同業との競合激化、ティム・クック最高経営責任者(CEO)がいかに速く新商品を投入できるかに関する市場の懸念を反映し、昨年9月に再高値をつけた株価は3分の1以上下落している。
チェン氏は時計市場への参入について、「アップルには60億ドルの商機につながる。アイポッドのように消費者の意表を突いた新機軸を打ち出せれば、商機はさらに拡大する」と話した。
市場調査IHSエレクトロニクス&メディアによると、テレビ産業の13年売上高は1190億ドルの見通し。チェン氏の計算法を使うと、アップルが時計市場で10%のシェアを獲得すれば粗利益は36億ドルになり、テレビ市場で同じシェアを得た場合の17億9000万ドルを上回る。
■グーグルと新たな競合
関係筋によると、アップルでは約100人が腕時計型端末の設計を担当している。採用が検討されている機能には、通話のほか、着信時の相手の身元表示機能、万歩計、心拍などの健康関連データ監視などがある。
アップルの時計市場参入は、ウェアラブル(装着型)技術をめぐるグーグルとの新しい競争の始まりを意味する。グーグルが開発中の眼鏡型端末「グーグルグラス(Google Glass)」は、音声による操作で写真撮影、情報検索、動画の録画などができるのが特長。
成熟した市場に参入し、使いやすい新技術で市場を塗り替えるアップルの力は証明済み。時計産業も、アイフォンの登場で一変した携帯電話市場と同様、変革を迎える日は近いかも知れない。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
米技術大手ら、メキシコでの製造拡大に注力 〜 台湾の技術製品メーカーらに熱心に働きかけ
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
米国内都市圏の住宅所有者らは自然災害に要注意〜異常気象による損害危険の高い地域が明確に
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ドライバーの過半数が「AVは怖い」~AAA調査
-
2024年5月13日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EVへの関心、ますます低下~消費者、メーカーの思惑に反し
-
インフルエンサーとブランドをつなぐプラットフォームで台頭 〜 ショップマイ、1850万ドルを調達
-
シンケイ・システムス、魚の活け締め技法を機械化 〜 完成に接近、鮮魚流通網に革新をもたらす可能性
-
ドキュサイン、インテリジェント契約管理サービスを発表 〜 電子署名ソリューション以外に事業を拡大
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開