連邦政府は最近、一部のドローン会社に対してより自由にドローンを飛ばす許可を与えた。その結果、ラストマイル配送(運送の最終段階)にドローン技術を導入しやすくなっており、いくつかの小売業者、飲食店、医療機関などがドローンによる配送サービスを拡大している。
◇視界外飛行が可能に
ウォールストリート・ジャーナルによると、全米の空を監督する連邦航空局(FAA)は2023年、ドローン宅配サービスのアルファベット傘下ウィング(Wing、カリフォルニア州)やジップライン(Zipline、同)などにいわゆる目視外でのドローン飛行を許可した。それまでドローンは操縦する人間の視界の中でしか飛ばせなかったため、ドローン運用の大きな障壁だった。
マッキンゼーのロビン・リーデル氏は、連邦政府の承認は空中配送の拡大に道を開くと見ており「これでドローンの技術や学習のいくつかを次の段階に進め、大規模市場で実際の展開を始められるようになった」と述べた。
◇本格的なサービス拡大へ
小売り大手のウォルマートは、配達業務へのドローン導入に最も積極的な企業の一つで、24年内にテキサス州ダラス・フォートワース地域で人口の約75%を対象にドローン配達を開始する予定だ。また、22年から国内の一部の都市でドローンによる商品配達をしているアマゾンは、24年後半には米3州のほかイタリアと英国で最新のドローン配達を始める。
ファストフード店のチックフィレ(Chick-fil-A)は最近、フロリダ州中部の店舗から1.2マイル圏内の顧客にドローンによる注文品配達を開始した。20年にドローン宅配を開始したジップラインも、25年から医療機関クリーブランド・クリニックの委託で処方せん薬の宅配を始める。
ウォルマートやドアダッシュのような企業向けにドローン配達を行っているウィングのアダム・ウッドワースCEOは「24年は、特に米国で家庭向けドローン配送が本格的に拡大する年になると思う」と話している
◇実用化に向け規則づくりも
ドローン配送は、米国外の方が進んでいる。マッキンゼーの推定では、23年に世界で実施されたドローンによる商用配送サービスは100万件を超え、そのうち北米は約15万7500件と見られている。
消費者や規制当局は、自宅の上空を旋回するドローンの安全性やプライバシー侵害、騒音に懸念を示しているが、業界専門家らは、家のそばを小包が飛んで行くことに地域社会が慣れれば規制は緩和されると見ている。
一方、ドローン宅配業者は、より静かな装置のテストや製造に取り組んでおり、他の航空機を含む障害物を回避するための検知・回避技術の開発も進められている。
FAAは、ドローンを使った配達を「日常的で、拡張性があり、経済的に実行可能」なサービスにしようと規則づくりを進めている。現在は、学識者、ドローンメーカー、業界専門家からなる委員会がまとめたドローンの視界外運用に関する安全性調査の最終報告書を見直しているところだという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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