中国製EVは「スパイ・カー」ーカナダで懸念高まる

カナダが中国への関税を最恵国待遇の6.1%を適用してEV輸入を認めることに対し、スパイに使われるとの懸念が広がっている。

オートモーティブ・ニュースによると、オンタリオ州のダグ・フォード首相は中国製EVを「スパイ・カー」と公言した。車両や携帯電話を通じて中国が傍受する可能性を指摘し、セキュリティー専門家や自動車業界関係者、NATO加盟国の認識とも一致している。

カナダ政府も中国の情報収集能力に強い警戒心を持っている。1月にマーク・カーニー首相が訪中した際は、カナダ航空機が中国領空に入る1時間前にすべてのカナダ政府職員や政権スタッフが公務用・私用端末の電源を切り、通信を遮断するバッグに収納した上で、中国滞在中は使い捨て端末を使っていた。

◇データの重要性

EVは運転履歴、位置情報、車載カメラ映像、車両状態といった膨大なデータを生成する。中国研究者のジョージ・S・タカチ氏によれば、中国はすでに大規模なデータ監視・分析体制を構築した。カナダ国内のEVから得られるデータも同様に価値があると考えるのは自然だ。

中国政府も車載カメラ映像が外国政府の手に渡ることを懸念し、中国内の軍事施設や機密性の高い職場で働く職員がテスラ車に乗ることを禁止している。「カナダも同様に軍事施設や安全保障上リスクの高い施設で働く職員について懸念すべき」とタカチ氏は述べる。「カナダと中国の関係が悪化したり台湾を巡る戦争などで対立した場合、中国政府がEVメーカーに車載ソフトウェア更新の妨害を指示すれば、重要な新機能を使えなくなったり、駐車中の車を動かせなくなる」と警告する。

◇サイバーリスクの懸念も

ポーランドは、中国製EVがセンサーやマイク、カメラを通じて軍事施設や部隊の動きを把握できるとして、軍事施設周辺での使用禁止を検討している。カナダの自動車部品業界も、中国EVがもたらすサイバーリスクを過小評価すべきではないと考え、欧米と足並みをそろえた規制整備を訴えている。

カナダ政府は、車両サイバーセキュリティー指針や個人情報保護法(PIPEDA)によるデータ保護を強調するが、タカチ氏は「政府は、EVがもたらすリスクを最小限に抑えるべきだ。それでも一定のリスクは残る」と話す。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 植民地から合衆国建国へ 18世紀半ば、現在のアメリカ東海岸にはイギリスの支配下にある...
  2. 2025年12月1日

    就職&雇用ガイド2025
    監修 STS Career https://usfl.com/author/stscar...
  3. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  4. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  5. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  6. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  7.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  8. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
ページ上部へ戻る