銀行、支店数減らす〜コスト高やオンライン利用の増加で

 支店網の拡張を続けてきた銀行業界が、コスト削減の必要やオンライン・モバイル取引の普及を理由に支店を減らし始めた。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、2012年に国内の金融機関は合わせて2267軒の支店を閉鎖した(市場調査のSNLファイナンシャル)。この結果、金融機関の支店数は現在9万3000軒と07年以降で最低に落ち込んでおり、今後10年で8万軒まで減って00年の水準に近づくとみられる(コンサルティングのアリックスパートナーズ)。

 2900支店を持つPNCファイナンシャル・サービシズは今年3月、年内に支店を200軒閉鎖すると発表した。ウィリアム・デンチャク社長は「今後は人員よりもテクノロジーに重きを置く」と説明している。PNCでは、携帯電話で小切手の写真を撮って送信すれば入金が可能で、窓口で手続きを行う場合より1回当たりのコストが3.88ドル安く済むという。

 また、ウィスコンシン州最大のアソシエイテッド銀行は、支店を1軒閉鎖するごとに30万ドルの節約になるとみており、12年だけで21軒を閉鎖し、さらに12軒の閉鎖を進めている。

 支店の閉鎖は地方都市が多く、過去1年間に閉鎖された支店の約20%は大都市以外が占める。数年以内に世界で12%の支店を減らす予定の大手バンク・オブ・アメリカでも、12年に米国で閉鎖した約200軒のほぼ16%は辺地の支店だった。

 アリックス・パートナーズによると、銀行のオンライン取引は現在、取引全体の53%を占め、利用者が実際に支店に足を運ぶ割合は14%にとどまっている。この結果、全米の支店の3分の1が赤字となっている可能性がある。特に支店の閉鎖が目立つのは、住宅ローン危機に伴う銀行の破綻が多かった地域で、ネバダ州では09年以降、支店数が10.3%、ジョージアでは7.7%、ミシガンでは約5%減った。

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