地域再生に移民は不可欠〜中西部自治体が呼び込み開始
- 2013年5月16日
- 米国ビジネス
国内には、移民が増えると米国人の雇用が奪われると心配する声がある一方で、移民が地域の活性化に貢献すると考える地域もある。中西部や大西洋岸中部など人口が減っている地域では、移民を歓迎する姿勢を表明し、誘致担当者を新設したり、当局のウェブサイトを他言語に翻訳したりする自治体が増えている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、こうした動きはかつて鉄鋼業が栄え、今は斜陽の「鉄さび地帯(Rust Belt)」と呼ばれる中西部の自治体で目立つ。ペンシルベニア州西部からミシシッピ川沿岸州に広がる同地帯は、100年前には大量の移民を引きつけたが、過去数十年は製造業が衰退し、新移民はデトロイト、クリーブランド、セントルイスなどよりフェニックスやダラスに向かうようになった。
2000〜11年に国内で最も急速に縮小した25都市のうち、18都市はラストベルトに属していた。ここでは外国生まれの住民の割合が低く、全米平均の約13%を大幅に下回って5%未満という場所もある。米国では過去10年間、米国生まれの人口が8%増加する一方で外国生まれの人口は25%も増加しているが、ペンシルベニア州ピッツバーグやオハイオ州デイトンなどは、人口が減った上に移民増加の恩恵も受けていない。
専門家によると、新移民が定住地を決める最大の理由は縁者や職の有無だ。移民政策研究所(ワシントンDC)の上席アナリスト、ジーン・バタロバ氏は「ほとんど経済的な成功機会があるかどうかの問題であり、先駆者が仕事を見つければ人脈が機能し始める」と説明する。
セントルイスではこの3月、市経済開発局が初めての外国人幹部で元ネスレ傘下ピユリナ幹部のベッツィー・コーエン氏を迎え入れ、新移民誘致事業を立ち上げた。デトロイト市も、移民誘致のために民間などから500万ドル以上の資金を集め、大学でビザ取得支援のためのイベントやウェブ説明会を開催して、外国人学生の引き留めを図っている。
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