ワシントンDCにロビー活動拠点 〜インテレクチュアル・ベンチャーズ
- 2013年8月26日
- ハイテク情報
特許をライセンスするビジネス・モデルで成功したインテレクチュアル・ベンチャーズ(Intellectual Ventures)は、ホワイトハウスと連邦規制当局が「特許トロール」の取り締まりに着手するなか、ワシントンDCにロビー活動拠点を開設する。
特許トロールとは、発明家や大学研究室、小規模企業、新興企業から特許を買い集め、特許侵害を訴えることで企業から多額の和解金や特許使用料を得ようとする実業のない行為もしくは組織。
ワシントン・ポストによると、インテレクチュアル・ベンチャーズはその準備として、無線通信大手クリケット・コミュニケーションズ(Cricket Communications)の元政府関係担当副社長で、通信業界向けロビイストであるラッセル・メルベート氏を3月に雇用した。
2000年設立のインテレクチュアル・ベンチャーズは、これまでロビー活動専門企業数社を雇って活動しており、2012年にはロビー活動に約100万ドルを投資した。同団体がロビー活動を始めた2005年には、その額は44万ドルだった。
2013年は、特許トロール企業の特許権侵害訴訟に関連する問題を含む各種特許改正法案を擁護する目的で、上半期だけで37万ドルを投入した。
連邦議会上院の資料によると、メルベート氏は今後、特許法改正をはじめ、知的財産権、特許使用料への課税、法人税見直しについてロビー活動を行う。
インテレクチュアル・ベンチャーズは、特許トロールとは一線を画した正当な存在だと称している。ただ、同社も特許ポートフォリオを企業に販売しており、設立以来の特許使用料収入は30億ドルに上る。
同団体は、マイクロソフト(Microsoft)やインテル(Intel)の元幹部、シアトル拠点の弁護士らによって2000年に設立され、マイクロソフトやインテル、ソニー、ノキア(Nokia)、アップル(Apple)、グーグル(Google)、SAP、エヌビディア(Nvidia)、イーベイ(eBay)といったIT大手やベンチャー・キャピタル企業が総額50億ドルを出資している。
それらのほかにも、モトローラ・モビリティ(Motorola Mobility)や東芝、シマンテック(Symantec)をはじめ、HSBC銀行やキャピタル・ワン(銀行)も加盟している。
インテレクチュアル・ベンチャーズは世界11ヵ所に事務所を構え、従業員は、弁理士を筆頭に、物理学者や技術者、工学者、生物工学者を中心に約800人。これまでに特許7万件以上を購入し、特許ポートフォリオの一部または全取得交渉が失敗に終わった企業を相手取って、25件の特許侵害訴訟を起こした。
メルベート氏は、内容が曖昧または過剰に広範な特許をめぐって、同社が小規模企業や新興企業、消費者を訴えることはないと言明。
「当社が特許侵害で企業を訴える場合、相手は年商数十億ドルまたは数億ドル規模の大手多国籍企業」に限られると述べ、悪名高い特許トロール企業との違いを強調している。
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