船舶の排ガス削減で政府と合意〜クルーズ最大手カーニバル

 世界最大のクルーズ船運航会社カーニバル(フロリダ州)はこのほど、船舶から出る大気汚染ガスを削減することで環境保護局(EPA)および沿岸警備隊と合意した。

 ロサンゼルス・タイムズによると、同社は今後3年間に1億8000万ドルを投じて、巨大なディーゼルエンジンで動く32隻のクルーズ船に硫黄酸化物(SOx)を減らすスクラバー(有害ガス処理装置)や、すすを減らすフィルターを搭載する。

 こうした技術はこれまで発電所、工場、自動車などに使われてきたが、カーニバルが使用するのはスペースの限られた船舶専用の装置や部品。停泊中は船のエンジンを切り、地上の電力網と接続するか低硫黄燃料の発電機を使って船内の電力を賄い、大気汚染を軽減する。

 連邦の保健基準を満たしていない国内の港湾約30カ所では、船舶が主要な大気汚染源となっている。以前は排出規制がほとんどなかったが、10年に国際海事機関(IMO)が米国とカナダの沿岸に汚染を規制する緩衝地帯を設定して以降、船舶は排気ガスの削減を義務づけられた。

 今回の合意は、カーニバル傘下のカーニバル・クルーズ・ラインズ、ホランド・アメリカ・ライン、プリンセス・クルージズ、キュナードが北米を中心に運航している船舶が対象で、これで高価な低硫黄燃料を主エンジンに使う義務を免除される。

 合計で102隻を所有し、年間約1000万人の乗客を運ぶカーニバルは、スクラバーによる排ガス削減が成功すれば、他の船にもスクラバー導入を拡大する可能性がある。

 クルーズ業界では、ロイヤル・カリビアンやノルウィージャン・クルーズ・ライン(いずれもフロリダ州)も、船舶への有害ガス管理装置の搭載に合意している。

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